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2013.08.15

定住者の更新

~いわゆる連れ子定住者が就労しているケース~

(序) いわゆる連れ子定住者については、下記の定住者告示に規定があります。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_hourei_h07-01-01.html
 定住者告示第6号(ニ)
 「日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者又は一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者で日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子」
 わかりやすい例を挙げれば、日本人夫と外国人妻(日本人の配偶者等)の夫婦の、妻の実子がこれに当たります。この実子は、未成年で未婚であるほか、「扶養を受ける」という要件があります。
 「扶養を受ける」わけですから、扶養者である日本側の扶養能力(収入・資産)が問われることになります。同時に、未成年という条件ながら、年齢が高くなるほど、扶養を受けず自ら就労する可能性が増しますので、不利になります。実務上、本人の年齢が15歳か16歳を超えますと、許可される可能性がかなり低くなる傾向にあります。

1. 申請人Aは、1995年、香港人(国籍・イギリス)の父とタイ人の母Bの間に出生しました。

2. Bは、日本人の夫Cと婚姻して、日本人の配偶者等(3年)で在留しています。

3.① 2011年4月、Aは、短期滞在(90日)で来日し、同年7月、定住者への変更を申請しました(当職取次、東京入管本局)。
 変更申請の際には、身元保証人及び扶養者をCとしたうえ、CとBに関する就労・収入関係書類、本国では暮らして行けなくなった旨を記した理由書などを添付しています。
 このような申請の場合、Cに十分な扶養能力(収入)があれば問題ないのですが、CはBと出会って以来、2度にわたる大怪我を負い、低収入の状態でしたので、Bに関する収入についても提出し、理由書中でも上記のような状況を説明しています。
 入管からは、申請後、2回、追加書類の提出指示がありました。
 1回目「今後の日本語習得に関する具体的方策及び進路予定に関する説明書」
 2回目「Aが本国にいる間のABの母子交流に関する資料」
 特に、後者については、Bが日本人の配偶者等の在留資格を得た際に述べた陳述内容まで引用して説明を求めるなど、入管側もぎりぎりの判断をした旨が伺われました。
 ② 同年9月、定住者(1年)への変更を許可されました。

4. 2012年8月、Aは、定住者の更新(1年)を受けました(当職取次、東京入管本局)。

5. 2012年10月、Aは、就職しました。これは、Cが、Bと出会って3回目の大怪我をして働けなくなった点が大きな動機になっています。Aとしては、少しでも家計を助けなければならないという思いがあったのでしょう。
 また、Aは、来日後、全日制の学校へ通学していなかったことも、就職した理由になったように思えます。もっとも、これに関しては、全く日本語のわからない外国人が、初歩から日本語を学ぼうとするとき、地元自治体などが行っているボランティア日本語教室くらいしか学習の受入れ先がないことも、全日制の学校へ通っていなかった理由だと言えます。この辺も、入管への申請の際に、説明した範囲です。

6. 2013年7月、Aの更新申請を行いました(当職取次、東京入管宇都宮出張所)。
 ABCすべての在職、収入、納税関係書類と生活状況を記した理由書を添付しました。
 理由書には、Aの就職、Cの怪我と低収入なども記載しました。なお、申請書中では、Aの滞在費は、AとBの半々による負担であると記してあります。これは、CよりもBの収入額のほうが大きかったため、扶養者としてBを選択したこと。及び、Aが単独で生計を営むには所得証明書の数字が低すぎる(2012年の3か月分の収入しかない)ため、このような記載にしたわけです(それが入管的な発想であろうと判断しました)。

7. 入管の審査結果は、更新許可(3年)、と期間伸長されていました。
 変更1年、更新1年を経たのだから、更新3年は当然、と思われがちですが、Aはフルタイムで就労し、一人で生計を維持することも不可能ではないわけですから(その趣旨も入管には説明してあります)、前記の「扶養を受ける」の要件を外れることになります。このあたりは、入管の判断1つで、更新1年も、不許可も考えられなくはなかったということになります。
 因みに、連れ子定住者に関しては、成年に達しても、結婚しても、更新が許可される例は一般的に存在します。
 定住者のうち、「連れ子」は本当に不思議なカテゴリーだと思っています。
 私が常々口にする「親ビザ」「子ビザ」ですが、連れ子定住者は「子ビザ」がいつの間にか「親ビザ」になる在留資格です。
(~ 「親ビザ」「子ビザ」を語り始めると長くなりますので別稿に譲ります ~)

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