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2011.07.23

最近の入管事情

本稿は、東京入国管理局(本局)に関する諸問題ですが、散文もしくは日記程度の記述だとお考えください。

1 アイエーカンパニーのこと
東京入管当局は、今春から、Bカウンター(総合受付)とCカウンター(認定受付)の入管受付業務を民間会社であるアイエーカンパニーに委託しました。配置されている職員は民間人ですから、当事者に対する対応もソフトになった感じもあります(制度発足当時のこと。現時点では若干疑問を生じました。立場を弁えていない受付職員もいるようです)。外国籍もしくは外国語をネイティブとする人も多数配置されています。申請人とネイティブな言語で応対するというメリットもあります。
しかし、業務に不慣れであることも否めません。
申請書や添付書類を下見して、受付カード(番号札)を渡す作業、つまり、受付の事前チェックから同社が取り扱っていますが、処理が遅く、いつも長蛇の列ができるようになりました。
また、Bカウンター、Cカウンターとも同社の処理に時間が掛かり、嫌味はあるが処理能力に長けた入管職員とは雲泥の差を感じます。同時にミスが多く、事件番号を打ち間違ったり、震災特措法を理解していなかったり、還付すべき書類を返し損なったりします。若干込み入った申請ですと、能力の限度を超えていると感じることがあります(申請の難易度ではなく、関係する申請人と申請内容=家族3名が更新と再入国と永住を同時に出し、共通資料とそうでない資料を判別するなどの能力)。また、日本語を理解できていない(書類を判別する日本語力が欠如した)職員が処理しているとの指摘もあります。A国人の申請人とA国人のアイエー職員が受付の事前チェックの段階で十数分の問答を繰り返している場面もあり、インフォメーションか受付相談と勘違いしているのではないかと思うこともあります。
このような具合で、私の経験的感覚としては、およそ2回に1回は、受付の段階でアイエーカンパニーが何らかのミスをすると考えるべきでしょう。
とにかく、市場調査とやらで、2年間はアイエーカンパニーが受付業務を処理することになっているようです。
申請をなさる皆様。
アイエーカンパニーのミスには細心の注意をもって対処してください。還付書類は?パスポートは?事件番号は?(※1) 
よくよく確かめてください。疑問があったら、アイエーカンパニーの後ろには入国審査官が控えていますから、そちらに確認する方法もあるでしょう。
(※1)事件番号の数字自体は確認の仕様がありませんが、部門(永住審査部門なら「永」、就労審査部門なら「労」など)や申請種別(更新なら「E」、変更なら「C」、永住なら「P」など)が間違っていないかどうかの確認をしてください。

2 在留資格認定証明書の交付率と短期滞在からの変更申請
東京入国管理局管内においては、本局へ申請しても出張所へ申請しても、決裁するのは本局です。そして、東京入国管理局永住審査部門は、「日本人の配偶者等」などの在留資格に関する在留資格認定証明書を発行する権限を委ねられています。
既にこれに類する情報をお持ちの方も多いかと思いますが、2008年前半には中国人配偶者(※2)に対する在留資格認定証明書の交付率が85%程度であったのに対し、その1年後には60%台に低下し、それがどんどん低下して2010年12月には20%を割り込む数字になっています。現在でも20%台で推移している模様です。どうしてそうなってしまったか、それなりの理由は聞こえてきていますが、他の入管局ではそのような数字ではありません。
東京入国管理局永住審査部門の在留資格認定証明書の交付状況が異常であると言わざるを得ないのは事実です。
(※2)中国人は1例に過ぎません。他の国籍でもほぼ同様の交付率傾向となっています。
どうやら、
「認定を申請しても滅多に交付されない」
そういう感触を掴んだ実務家や当事者らが、「短期滞在の在留資格(査証免除を含む)で来日し、本来、希望する在留資格へ変更申請する」という手段を用いようとするであろうことは大いに予想されるところです。
おそらく実数的にも、短期滞在からの変更申請が増えているのでしょう。
入管法20条3項但書にこうあります。「短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。」
この条文は、身分系在留資格(日本人の配偶者など)においては、今まで実務上、この法文ほど厳格な運用はなされてきませんでした。せいぜい、在留資格に相当する活動をするという信憑性や合理的な理由、相当な理由が必要、という程度であったと言えます。
いずれにしましても、
「永住審査部門は僅かしか在留資格認定証明書を交付しない。当事者側は対抗措置として短期滞在からの変更申請を出す。」
これが定着しては、もともと異常な入管の認定交付率に問題があるにせよ、例外的な手法である短期滞在からの変更が、在留資格認定での来日より増えてしまい、いわば本末転倒の事態に陥ることになります。
入管当局は、このような本末転倒な状態を払拭するためか、あるいは、現在の異常な認定交付率に対する大々的な批判に対抗して自己の正当性を主張するためか、短期滞在からの変更に歯止めを掛ける方策を講じるようになりました。
具体的には、東京入管(本局)において、2011年7月中旬以降、短期滞在から他の資格への変更申請をする場合には、事前に該当部門の承認を受けるというシステムが導入されることになりました(該当各部門の事前の承認というのですから、永住審査部門に限らないことになります。なお、既に在留資格認定証明書の交付を受けていてそれを添付した変更申請の場合は、事前承認は不要の模様です)。
つまり、短期滞在からの変更を申請する場合、入管へ行ったら、まず、永住審査部門などの該当部門へ行き、下記のような用紙の交付を受けます。大きさは、だいたいA5版です(下記画像をクリックすると、カラーのPDFファイルが開きます)。 

永住審査部門で事前承認を受けると、この用紙の右下にある「確認欄」の丸印が押されますから、これを添付して、Bカウンター(総合受付)で申請することになります。
永住審査部門で事前承認を受ける際に聞かれるのは、主に、この案件で在留資格認定証明書交付申請を行ったことがあるかどうかです。
認定申請したが不交付になった事案であれば受付をしないということなのかどうか、詳細はまだ不明です。
様々な処理が想定されますが、受付をしてもらえたにしても、法文にある「やむを得ない特別の事情」に重きを置く審査になるのではないかという気がしています。

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