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2013.04.20

「日配」更新<事例6>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例
(在留資格取消事由該当)

<事例6>
前夫と離婚し、現夫との婚姻を理由に更新許可を求めた事例。
住居地:茨城県
入管:東京入国管理局(本局)
申請時期:2013年3月上旬
事案概要:
(序)本件のテーマは、外国人女性Aが日本人夫Bと離婚をした後、日本に在留したまま日本人の後夫Cと再婚し、在留期間更新許可を求めた点で<事例4>http://office.yshimada.com/?p=164と類似しています。
 しかし、Aは、2012年7月の改正法施行により、前夫Bとの別居から6ヶ月以上経過したため、在留資格の取消事由に該当している点で、その法的立場に大きな相違があります。
(1) 外国人女性Aは、1992年に日本人夫Bと婚姻し、同年、日本人の配偶者等の在留資格で上陸し、同年中にAB間の長男が出生しました。以後、更新許可を続けてきました。
(2) 2011年6月、AはBと別居し、単身で暮らすようになりました。
2012年4月、Aは別居中のまま、日本人の配偶者等(1年)の更新許可を得ました。在留期限は、2013年4月下旬でした。
(3) Aは、転居後に勤務するようになった会社の同僚として日本人男性Cと知り合い、交際するようになりました。
(4) Aは、長男の親権者をBと指定し、2012年6月下旬、Bと協議離婚しました。日本法の待婚期間は、同年12月下旬までとなります。
(5) 改正法によると、改正法施行日の2012年7月9日以降に、日本人の配偶者等の在留資格(日本人の妻又は夫に限る)による上陸許可、更新許可、変更許可を受けた場合、離婚の旨を入管に届け出る義務を定めています。これについては、Aの更新許可が改正法施行日より前だったことから、この届出規定には該当しないことになります。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00016.html
(6) 一方、同じく改正法によれば、日本人の配偶者等の在留資格(日本人の妻又は夫)で在留していて、日本人配偶者と別居して6ヶ月を経過すると在留資格の取消事由に該当する、との趣旨の規定あります。この場合、日本人配偶者はBであり、なお、正当な理由がある場合は除かれますが、AB間には別居するにつき正当な理由は見当たりません(入管法22条の4第1項7号)。
(7) この点から、前記<事例4>と同じく、在留期間更新許可を申請して良いのかどうか、いささか疑問を生じました。
本件の対処法は、以下のとおりであろうと考えました。
① 認定案件として処理する方法
 AとBの離婚成立後、Aは速やかに帰国し、Cとの再婚が成立してから、日本人の配偶者等の在留資格認定証明書交付申請を行い、それに基づき、来日する方法です。
② 変更案件として処理する方法
 AとBの離婚成立後、Aは速やかに、定住者などへの在留資格変更許可申請を行う方法です。なお、AとCの再婚が成立した後、再び、日本人の配偶者等への変更許可申請を行う必要があることになります。
③ 更新案件として処理する方法
 AとBの離婚成立後、待婚期間(2012年12月下旬まで)が終わるのを待ってCと再婚の届出をなし、Cとの婚姻を理由に在留期間更新許可申請を行う方法です(又は、Aの本国法に待婚期間の規定がなければ、AとCでAの本国へ赴き、婚姻手続を行うことも考えられます)。
(8) 各方法の特徴を検討しますと、
 ①の方法が入管の本則であろうと思われます。
 ですが、同時に、当事者(AとC)はそれまでの生活を一変させなければならず、当事者が最も嫌う方法であろうとも言えます。
 ②の方法は、Aの在留履歴や夫Bとの同居・婚姻生活の長さ、独立生計要件など、定住者への変更許可に十分見込みがある場合に取りうる手段だと言えます。本件では、定住者への変更許可の可能性は十分にあり、かつ、他の在留資格への変更の可能性は考えられませんでした。
 しかし、再婚成立後にもう一度、日本人の配偶者等への変更許可申請を行う必要があるので、二度手間的であり、当事者に負担が大きい方法とも言えます。
 ③の方法ですが、Aの待婚期間が2012年12月下旬までであり、それから婚姻手続に入ったとして、婚姻成立後に更新許可申請を行うことになります。更新許可の申請時期は、原則として在留期限である2013年4月下旬の3ヶ月前である同年1月下旬以降となります。なお、前記(6)により、AはBと別居して6ヶ月を経過すると在留資格の取消対象になるわけですが、その起算点は改正法施行日の翌日(2012年7月10日)であると解釈されており、2013年1月10日以降、Aは在留資格の取消対象になると解されます。
 つまり、本件では、在留資格取消対象の時期に入らないと更新許可の申請は出せないことになりますので、入管が受け付けてくれるのか、また、許可の可能性はどの程度あるのか、大いに疑問であると言えます。改正法により、在留資格の取消対象となったことで、<事例4>と法的地位が大きく異なることになりました。
 ですが、当事者にとっては、それまでの生活を変える必要がなく、また、1回の申請で済みますので、大変便宜ではあります。
(9) このように、それぞれの方法にプラス点、マイナス点がありますので、どの方法が適切であるのか、というより、③の方法(更新手続)を取って良いのかどうか、2012年秋、東京入管本局永住審査部門の意向を聴いてみました。もちろん、在留期限や待婚期間など、日付を示して説明をしました。そうしたところ、同部門の回答は「更新手続で良い」とのことでしたので、この方法によることにしました。
(10) Aが離婚したことによる本国での復氏の手続と復氏後のパスポート発行、本国の独身証明書や在日大使館の婚姻要件具備証明書の発行。また、Cの親族の説得(初婚であるCは老母との2人暮らしでした)など、当初の予定より案外時間が掛かり、AとCの再婚が成立したのは、2013年2月下旬になりました。
(11) 戸籍謄本が出来るのを待ち、同年3月上旬、東京入管永住審査部門へ在留期間更新許可申請を出しました(当職取次)。このとき、Aの本国での婚姻証明書はまだ出来ていませんでしたので添付せず、入管から追加要求があれば提出できるよう準備を進めていました。
(12) 提出した書類は概ね以下のとおりでした。要するに、申請書だけ更新許可を使い、その他の添付書類は認定案件に準じています。
・在留期間更新許可申請書
・身元保証書
・質問書(http://www.moj.go.jp/content/000007383.pdf)(※1) 
・スナップ写真5枚程度
・Aの戸籍謄本(婚姻事項の記載のあるものです)
・AとCの住民票写し
・Cの在職証明書、住民税課税証明書、同納税証明書(※2)
・Aの住民税課税証明書、同納税証明書(※3)
・Bの戸籍謄本(※4)
・住居の概要(※5)
といったところです。
(※1)質問書別紙として「婚姻に至る経緯書」を添付しています。また、事前に永住審査部門を訪ね、更新許可申請で良い旨の指導を受けたことも記載しました。 
(※2)CがAを扶養するという申請内容にしたため、Cの扶養能力と申告納税義務を果たしていることを証明するためです。
(※3)Aにも生活力があること、つまり、仮に入管が更新許可に消極的審査をした場合にも定住者の要件が整っていることの証明となるため。また、きちんとした申告納税義務を果たしていることを証明する(在留状況の良好さを示す)ためです。
(※4)一般的に前夫の戸籍謄本を添付するようにしています。
(※5)現地調査の可能性があるので添付するようにしています。
(13) 申請後、1ヶ月以上を経過した4月中旬になってから、追加資料の要求がありました。
 追加資料は「質問書」と題する書類で、これは、認定案件で添付する上記URLの「質問書」とは内容が異なる下記のような様式でした。
http://www.yshimada.com/images/koushin_shitsumonsho.pdf
 これに従って記載し、また、アパートの賃貸借契約書のコピーとスナップ写真2枚(既に提出済みのものと異なるものにしました。スナップ写真は申請時点で数枚添付していますので可笑しな具合ですが、質問書の中で追加要求されていますので逆らわずに提出することにしました)。
 この質問書(koushin_shitsumonsho.pdf)の内容を見ていますと、入管は、何らかの調査をした結果、「AC夫婦が同居していないのではないか」と思ったようです。そして、別居もしくは外泊について合理的な理由があるかどうかを尋ねているようです。実は、夫Cの勤務形態が昼勤・夜勤の1週間交代だったので、入管が同居事実を誤認したのかもしれません。
(14) 質問書(koushin_shitsumonsho.pdf)を郵便で送付し、それが入管に到着したと思われる日付で、入管から葉書が発送されてきました。
 数日後、在留カードを受領してきました。
 許可内容 更新許可、日本人の配偶者等(1年)
(15) 離婚の届出義務はなく(5)、在留資格取消事由に該当している(8)、という珍しい案件でした。今後、同種の案件は、離婚の届出義務にも在留資格取消事由にも該当することになるでしょう。
 より一層の慎重な申請方針の検討が求められるところであろうと思われます。

2013.04.11

公正証書遺言

(1) 遺言者は、80歳代の男性Aさんです。
Aさんにはお子さんがありません。妻Bさんのほか交流のない兄弟甥姪が7名ほどおいでになるだけです。養子をお迎えするお気持ちもないとのことでした。
つまり、推定相続人は妻Bさんと兄弟甥姪7名ということになります。
(2) Aさんの財産は、AさんBさんご夫妻でお住まいの土地建物とAさん名義の銀行預金です。
(3) このままAさんが亡くなりますと、Bさんが4分の3、兄弟甥姪7名が残りの4分の1を共同相続することになります。兄弟甥姪7名の中には連絡の取れない方、意見の食い違う方なども想定されます。相続の協議で話合いが付かない場合には家庭裁判所で遺産分割の審判になることもあります。共同相続人中に連絡の取れない方がある場合には家庭裁判所で不在者財産管理人を選任する必要があります。
(4) 相続人が兄弟甥姪の場合には、遺留分がありません。ですから、Aさんが妻のBさんに全財産を相続させる旨の遺言をしても、問題は何も起こらないことになります。
(5) 遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります(一般の実務)。
自筆証書遺言の場合には、全文を自分で記載し日付を入れて署名押印をすれば良い、と簡便です。しかし、相続開始後(Aさんが亡くなった後)、家庭裁判所の検認手続を経なければなりません。検認の申立てをするには膨大な戸籍資料を提出しなければなりません。また、家庭裁判所は、すべての相続人に対して呼出の手続を行った上で検認を行います(下記、裁判所のサイトなどをご参照ください)。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_17/
それに、家庭裁判所の遺言書検認手続は、一種の検証手続に過ぎず、遺言という証書の真否を争う場所ではありません。証書の真否(遺言書が真筆か偽造かなど)に関して、他の相続人から証書の真否確認訴訟が地方裁判所に提起されるかもしれません。
(6) 公正証書遺言の場合には、公証人に遺言書を作ってもらうことになります。公証人というと、普通の方には不慣れで、若干敷居が高く感じられるかもしれません。公証人に支払う費用も掛かります。
しかし、公正証書遺言であれば、家庭裁判所の検認手続も不要ですし、遺言書の紛失・焼失や悪意を持った者による破棄といった暴挙に対しても、公正証書の原本が公証人役場に保管されるので安心です。
提出書類に関しても、前述の遺言書検認手続に比べて下記のように簡便です。
・遺言者と相続をする人(この場合はABご夫妻)の戸籍謄本
・遺言者の印鑑証明書と実印
・遺言者の固定資産評価証明書
・証人2名の身分証明書(運転免許証など)と認印
(なお、銀行預金に関しては、口頭で述べれば良いという公証人が一般的なようです。固定資産評価証明書や預金額は、公証人の報酬算定のためだけに必要なデータです)
(7) 遺言書の内容は、
 1、遺言者は不動産預貯金その他一切の財産を妻に相続させる。
 2、遺言執行者に妻を選任する。遺言執行者は預貯金の払戻など、遺言執行のための一切の権限を有する。
という趣旨になります。
 遺言執行者に関する記述は、預金を払い戻す際に、銀行に対して相続人である妻の立場(遺言執行者でもある旨)を明確にするために記載します。
(8) 公正証書遺言を作成するためには、公証人との間で、遺言書の内容の原案や提出書類について、また、遺言書作成の日時に関して、打合せをしておくのが通例です。私どもにご依頼くだされば、遺言書の証人にもなりますし、公証人との間で、事前にこういった“お膳立て”をしておきますので、公証人役場での手続は、実にすばやく出来ると申し上げられます。
 特に、本件の例などは、遺言者Aさんのご年齢や健康状態を勘案して、ベストな時期にベストな手続を行うことが出来たと言えます。
 AさんBさんご夫妻とも、大変、安堵されたご様子でした。