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2011.01.21

上陸特別許可案件(10)

上陸特別許可の在留資格認定証明書の例(10)

事案の概要
申請人は中国籍の女性です。
就学の在留資格で来日後、不法残留していました。日本人男性と交際・同棲するに至りましたが、同棲中の2009年5月、不法残留で摘発され、同年6月下旬、退去強制処分を受けました。上陸拒否5年に該当しています。
同年10月中旬、中国式婚姻が成立しました。
2010年1月、いったん当事務所に相談があったのですが、中国人女性ご本人のパスポートが発給されないという事態になり時期を待つことになりました。中国法においては、強制送還で帰国した場合、6ヶ月から3年の範囲で、新規のパスポートが発給されないという規定があるとのことです。
2010年7月、ご夫婦間のご実子が中国で誕生しています。ご実子は日本国籍を留保されました。
2010年10月上旬、当職取次にて「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書交付申請書を東京入国管理局(本局)宛て提出しました。
2011年1月中旬、在留資格認定証明書が発給されました。
日本人の配偶者の場合、「退去から2年以上、婚姻から1年以上」が経過した時点で、上陸特別許可を前提とする在留資格認定証明書を発給する旨の内規がある模様ですが、本件では、退去から2年未満です。婚姻成立から審査に掛かる時点までは1年を経過しています(申請時点では1年未満でした)。
過去にも上陸特別許可案件(2)の例がありますが、ご夫婦間にご実子がある場合、退去から1年以上、婚姻から1年以上の経過で、上陸特別許可を認める内規が存在することが推測されます。
審査期間は3ヶ月と1週間ほどでした。

2010年7月1日施行の「通知書」について
入管のサイトには、上陸特別許可の手続を簡素化する旨の記載があります。
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact/q_a_details8.html#q8-1
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact/q_a_details8.html#q8-2
ここに、
「入国審査官,特別審理官,法務大臣と三段階の手続を経て上陸特別許可を再度行わずに,入国審査官が上陸許可の証印をできるようにすることにより上陸手続の簡素化を図った」
「特例の対象となるのは,入管法第5条に規定する上陸拒否事由のうち,同条…第9号…に該当する方で,法務省令が改正される7月1日以降に…在留資格認定証明書の交付…を受けた方で法務大臣が特別な理由があると認めた方です。これらの方には,相当と認めるときには通知書を交付してお知らせすることとなります。」
とあるのですが、上陸特別許可を前提とする「7-1-4」と付記された在留資格認定証明書」では「通知書」の取扱いをしないのが現在の実務である模様です。
本件に関しては「通知書」ではなく、従前どおり“到着便の事前通知”を求める「お知らせ」が同封されていました。
「お知らせ」についてはこちらからご覧ください。
なお、上記「通知書」が交付されるのは、現在のところ、上陸拒否期間中の再入国許可のみの模様です。
※ 追記 同年2月下旬、在瀋陽総領事館にて査証発給され、3月中旬、上陸特別許可が認められました。
本件以前の上陸特別許可案件に関しては、こちらからご覧ください。

2011.01.05

「日配」更新<事例5>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

<事例5>
同一配偶者との再婚を理由に更新許可を求めた事例。
居住地:東北地方
掲載意図:
本事案は当職において、入管申請書類の作成や取次を行ったものではありませんが、日本人の配偶者等の在留期間更新許可申請をなしたところ、事例4と同様に、質問書の提出を求められたとのことなので、その類似性から、ここに掲載することにしました。
事案概要:
タイ国籍の女性Aは、日本人の夫Bと婚姻し、2003年12月に日本人の配偶者等の在留資格で上陸し、以後、同資格にて在留期間3年を認められていました。在留期限は10年12月でしたが、それ以前の09年8月に協議離婚が成立しました。その離婚は当事者双方の本意ではないと言います。再婚して日本での在留を継続したいとのことで、再婚の手続についてご依頼を受けたわけです。
再婚手続の原則:
本来ですと、ごく大まかに記しても、
タイの離婚証明書・独身証明書・住居登録等の取得→日本の婚姻届→タイの婚姻証明書等の取得→入管への申請。
という手順になります。細かく言いますと、両国外務省・大使館による離婚・改姓・婚姻関係書類の発給申請や認証手続・翻訳、パスポートの申請や外国人登録の手続など、細々した処理が山積されています。煩雑極まりありませんし、在日タイ大使館に相談すれば、上記のような原則論を押し付けられるのは当然と思われました。
例外的な通達の存在:
2009年、本件とは別途に、タイ人女性が入管に収容中である案件に関して、次のような通達がある旨の情報を得ていました。
「タイ人女性Aと日本人男性Bが双方の国で婚姻届をなしたうえ、日本でのみ離婚届を提出し、タイ側離婚届をなしていない状態で、Aが、別の日本人男性Cと再婚するにつき、添付書類として、AB間のタイの婚姻証明書、Aの出生証明書及び住居証明書をもって、婚姻届を提出することができる。この場合、市役所限りではなく、法務局への受理照会の上、婚姻届を受理することとなる。」
本件への適用:
本件では、Aが収容中というような緊急やむを得ない状況ではありません。一方、離婚した夫Bと再婚する夫Cは同一人であるという特殊性があります。担当市役所及び法務局の意向を確認したところ、上記通達を是認したうえで、①タイ国婚姻証明書(タイ語原文と英訳のセットに外務省認証及び日本語訳)、②住居登録(前同)、③申述書、を添付して市役所限りで婚姻届を受理する、との回答を得たものです。
入管への申請:
入管申請に関しては相談を聞いているのみですが、事例4と同様に、離婚成立によって速やかに帰国するか他の在留資格への変更を求めるべきであったと思われます。しかし、そうせずに、在留期間更新許可を申請したいというのが当事者の希望でした。
離婚・再婚の当事者は同一ですが、本件もやはり、新たに日本人の配偶者等の在留資格を決定する場面になりますので、質問書の追加を求められたということでしょう。
離婚届の提出により、過去7年の在留履歴がリセット扱いになったものと想像します。
入管の審査結果は、更新許可1年であった、とのことです。

「日配」更新<事例4>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

<事例4>
前夫と離婚し、現夫との婚姻を理由に更新許可を求めた事例。
居住地:東京都
入管:東京入国管理局(本局)
申請時期:2010年11月
事案概要:
タイ国籍の女性Aは、日本人の夫Bと婚姻し、2008年12月に、日本人の配偶者等(1年)の在留資格で上陸しました。しかし、滞在1年目からBが倒産するなどして夫婦関係がギクシャクするようになり、2009年からC(2010年に後夫となる)に身の上話を相談するなどしていました。
09年11月、AとBはこのまま日本に居住し夫婦関係を維持するのかどうか熟慮する意図で更新許可1年を得ました。しかし、夫Bがタイへの移住を決意する等、Aにとっては受け入れられない事態となり、2010年4月に協議離婚が成立しました。
それと相前後してAとCが交際するようになり、離婚成立後の同年6月からAとCは同居生活に入りました。
待婚期間を経過した同年10月にAとCの婚姻が成立しました。この際、Aのパスポートは、婚姻前の実父姓のものを用意しました。
在留期限前に本国の婚姻証明書も用意できましたので、これも添付して在留期間更新の許可を求めました(本国婚姻証明書が作成未了の場合は、申請後に追完する予定でした)。
主な添付書類:
登録原票記載事項証明書、外国人登録証明書写し(前夫Bとの婚姻中のもの、離婚後の実父姓のもの)、B姓のパスポート、実父姓のパスポート、タイ国婚姻証明書(以上、Aのもの)。戸籍謄本(Bのもの)。戸籍謄本、住民票、在職証明書、都民税特別区民税課税納税証明書、身元保証書、パスポート写し(以上、Cのもの)を提出しました。
理由書等:
質問書(http://www.moj.go.jp/content/000007383.pdf)とスナップ写真多数を提出しました。
なお、質問書は、在留資格認定証明書交付申請(いわゆる呼寄せ)において使用する予定で設定されていますので、署名者及び一人称は、日本人配偶者Cとなります。その点は、本事案でも同じですが、外国人本人が日本に在留中に更新許可申請をなす場合、理由書を添付するとすれば、その作成者は外国人本人となるのが通例です。そこで、入管の意見を聞き、質問書末尾の署名はCがなすこととし、質問書2葉目の経緯の部分を「婚姻に至る経緯書」として独立させ、その末尾に作成名義人となるCと、連名で外国人本人Aの署名を記載しました。なお、別途、外国人本人A名義の理由書を添付するもの1つの方法でしょう。
申請理由として留意すべき点:
Aは、前夫Bとの離婚により、日本人の配偶者等の在留資格該当性を喪失したものと見られます。よって、離婚後相当期間内に帰国するか、速やかに他の在留資格への変更を申請すべきでした。本件のAには、変更すべき在留資格は見当たらず、入管法の基本どおりであれば帰国するしかなかったでしょう。
つまり、入管法の定める原則からすると、離婚→帰国→再婚→在留資格認定証明書交付申請→査証申請→再来日、という手順を取るべきところ、離婚→再婚→在留期間更新許可申請、という特例的な手続を取ったことになります。
この点を含め、本事案の陳述内容として、以下に留意すべきでしょう。
・ 前夫Bと離婚するに至った詳述な経緯。
・ 前夫Bとの離婚後速やかに在留資格変更申請もしくは帰国の手続を取らなかったことに対する謝罪の文言。
・ 離婚成立後も帰国しないで、日本に在留を続けた理由。本件においてこれに相当するのは、後夫Cとの交際及び同居の事実。
・ 前夫Bとの離婚前から、後夫Cとの交際があった事実(真実であり、かつ、入管の指導によって記述した部分ですが、いわゆる不倫ではないことを注意深く説明すべきでしょう。)
審査の結果:申請後2週間で許可証印受領。更新許可1年を付与されました。

「日配」更新<事例3>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

<事例3>
夫と別居し婚姻関係の修復は困難かと思われるが、子の親権や離婚条件を巡る訴訟等を前提として更新を希望した事例。
居住地:栃木県
入管:東京入国管理局(本局)
申請時期:2010年10月
事案概要:
タイ国籍の女性Aは、日本人男性Bと婚姻し、日本人の配偶者等(3年)の在留資格を有していました(前回の更新許可は2007年10月)。
婚姻及び初来日から12年を経過しており、AとBの間には、日本国籍を有する小学生の長男Cと長女Dがあります。
1998年の初来日後、夫Bのほか、子C・Dを含む安定した婚姻生活が7年ほど継続したようですが、2005年8月に在留期限を徒過し、06年11月に在留特別許可を得るまで不法残留の状態でした。08年11月に、夫Bや子C・Dと別居するに至っております。つまり、在留特別許可から別居まで2年しか経過していない点で、厳しい審査になるであろうと推測されました。
添付書類として、外国人登録証明書写し、在職証明書、市県民税非課税証明書、給与明細書(以上、Aのもの)、戸籍、住民票(以上、B・C・Dのもの)、身元保証書(会社同僚のもの)を提出しています。なお、Aの滞在費支弁方法は本人負担であるところ、所得証明書では自活できないほどの低収入であり、その点も不安要素でした。
これ以外に、いわゆる理由書に相当するA本人名義の「生活状況の報告及び在留を希望する理由」と題する書面を添付しています。後記ご参照ください。
申請方針として、子C・Dの親権や離婚に伴う財産分与や慰謝料請求のための示談交渉や調停・訴訟を前提に更新を希望した事例と言えます。本申請時点で、訴訟や調停は、現実には係属していません。
審査の結果:
申請後4週間で証印受領。更新許可1年を付与されました。(2010年7月の新制度移行後、当職取次による東京本局永住審査部門での更新又は変更案件で、許可証印受領まで規定どおり4週間を要したのは本件のみです)。
本事案の検討:
本事案は、夫婦間に実子がある点で<事例2>に似ているように見えますが、事例2においては、夫とは別居だが実子とは同居の形態を取っているし、婚姻・在留継続期間も長く、仮に離婚しても定住者の在留資格を付与される可能性が高いと言えます。
一方、本事案では、初来日後7年ほどの安定した婚姻生活があったとは言え、在留特別許可から別居まで2年しかなく、かつ、実子を引き取って養育してもいませんので、このまま実子を手元で養育することなく離婚しますと、定住者の在留資格を付与される可能性は低いと想像されます。次回更新においては、本申請と同様の内容で良いとは考えておりません。

(申請人A名義)
「生活状況の報告及び在留を希望する理由」
2007年10月○○日に在留期間更新許可をいただいた以降の生活状況と、今後、日本での在留を希望する理由を以下のとおり申し述べます。
1.私は、2008年11月○○日に夫Bと別居しました。
主な理由は、夫から度重なる暴力を振るわれ、また、生活費を渡してくれないこと、夫Bは近くに住む実父母の言いなりで、子供たちの養育のことなど私の希望を全く耳に入れてくれないことです。夫Bは、栃木県H町所在のH社(上場企業関連)でエンジン開発に関わる仕事をしており、生計は厳しくないのに、生活費を預けてくれない点がトラブルの元になっていました。
2.私は、夫Bと別居後、栃木県O市でタイ料理店の経営を始めましたが、世の中が不景気で店舗経営は上手く行かずに閉店しました。
2009年5月末に現在の居住地である同県M町に転居して、同年11月から同県M市所在のキノコ関係の事業所 Mに勤務するようになりましたが、給与があまりに低額なので2010年8月で退職しました。
同年10月には、現在の勤務先T工業所(プラスティック加工)に就職しました。在職証明書に給与月額11万円とありますが、残業などを入れると15万円程度を見込めます。
3.夫Bとは1998年4月の結婚以来12年以上が経過しています。しかし、上記のように暴力や生活費のこと等を改めてくれない限り、夫婦関係の修復は難しいかと考えています。夫Bとは、離婚する方向で話合いをしていますが、離婚に伴う財産分与及び慰謝料、長男Cと長女Dの親権や養育費について、協議が纏まらないかもしれません。夫Bとしては、本心よりも父母の顔色が気になるのだと思います。
金銭的なこともありますが、私としては、どうしても、CとDの親権を得て2人の子供たちを引き取り、私とC・Dの3人で日本での生活を開始したいと強く希望しています。子供たちのどちらか一方だけと言われても選ぶことはできません。
子供たちと一緒の生活を取り戻すためには、家庭裁判所に訴えて出ることも辞さない覚悟です。
4.私は、何も日本に在留したいために、形だけ裁判だなどと口に出しているのではありません。子供2人を引き取りたいのが真意なのです。子供たちは既に日本の市立小学校へ通学していますから、仮に、子供たちを引き取ったとして、タイでの生活を新たに開始するのは難しいと思います。
以上①夫との離婚協議及び状況によっては離婚の裁判のため、②離婚成立後に、子供たちを引き取って、子供たちと日本で生活をするため、本申請をお願いすることにしました。
2010年10月○○日
申請人A(署名)

「日配」更新<事例2>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

<事例2>
夫と別居し、既に婚姻関係は破綻しているが、日本国籍を有する長男の行く末を案じて、在留を希望した事例。
居住地:茨城県
入管:東京入国管理局(本局)
申請時期:2009年6月(2010年6月にも同旨の依頼を受けました)
事案概要:
タイ国籍の女性Aは、日本人男性Bと婚姻し、日本人の配偶者等・3年(2009年6月の依頼時点にて)の在留資格を有しており、18年の在留歴があります。
また、日本人の夫Bとの間には、高校生の長男Cがあります。
Aは、夫Bと2年ほど前に別居しました。居住地は夫Bとは別、長男Cとは同じになっています。
婚姻破綻の原因は、夫Bが女装を好み、やがて女性への性転換を希望するようになったことです。
別居時点で離婚届を提出し、日本人の実子を養育する者としての「定住者」への在留資格変更を求めるべきであったと思われましたが、長男Cが可哀想だとの理由で離婚届の提出は見送っています。
Aは無職・無申告で、滞在費支弁方法は本人負担であり、預金により生活していると述べたので、預金通帳を提出しました。この点、入管の受付段階ではクレームめいた発言がありました。少々心配でしたが、最終的には問題にはなりませんでした。
申請理由の主点は、以下のような趣旨でした。
「長男Cは、茨城県S市にあるN高等学校に通学しています。私の心配事は、Cの行く末です。私は、日本での在留歴が長いですし、せめて、Cが高校を卒業し、社会人として生活できるようになるまで、日本でその成長を見届けたいと思っています。」
本件でも、訴訟や調停は係属していません。
審査の結果:
申請後10日ほどで葉書受領。当時としては審査に時間が掛かったほうでした。
更新許可1年を付与されました。
2010年6月にもほぼ同旨の内容で申請し、更新許可1年を付与されました。

「日配」更新<事例1>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

<事例1>
現夫との婚姻関係破綻後、離婚の条件を決定し、かつ後夫となるべき男性との再婚を前提とする事例。
居住地:茨城県
入管:東京入国管理局(本局)
申請時期:2009年11月
事案概要:
タイ国籍の女性Aは、日本人の夫Bと7年の婚姻歴があり、日本人の配偶者等(3年)の在留資格で在留中、夫Bの浪費等が原因で婚姻破綻しました。追って、更新申請の時点では、別の日本人男性Cと同居生活を送るに至っていました。
市役所が行っているボランティア相談などにより、定住者への在留資格変更など複数の選択肢があることがわかったとのことでしたが、現夫Bとの間の「離婚に関する条件の決定や裁判手続のため」、日本人の配偶者としての更新申請を選択したいということでした。
添付書類として、A本人の外国人登録証明書写しのほか、現夫Bの戸籍、住民票、市県民税課税証明書(なお、同納税証明書は居住地市役所の扱いで配偶者からの請求を認めないため添付していません)、同居人Cの身元保証書、戸籍、住民票、在職証明書、市県民税課税証明書、同納税証明書、旅券写し、身体障害者手帳(なお、Cの収入は健常者と同等以上です)を提出しました。
他に、いわゆる理由書に相当するA本人名義の「生活状況及び在留を希望する理由について」と題する書面、Cからの「上申書」を提出しました。
後記ご参照ください。
なお、訴訟や調停は、現実には係属していません。
審査の結果:
申請後5日目に葉書受領。更新許可1年を付与されました。
2010年に入ってから、夫Bとの協議離婚が成立したと報告がありました。結局、Aは、Cとは再婚せず、祖国の老母を介護するため帰国の道を選んだようです。

(申請人A名義の理由書)
東京入国管理局 御中
 「生活状況及び在留を希望する理由について」
1. 私は現在無職です。夫から生活費の援助も受けておりません。
また、私自身については、申告もしていませんので、非課税証明書も取得できないということです。
夫の市県民税課税証明書については、茨城県H市役所の取扱いとして、妻である私から請求できるとのことですので、御局に提出します。同納税証明書については、同市役所の取扱いとして夫からの委任状がないと請求できないということであり、下記のような状況から夫の協力が得られませんから、御局に提出することができません。
2. 私と夫は、1年以上別居しています。
直接的には、私の祖国の母が脳溢血に倒れたため一時帰国した08年9月○○日の出国以来、夫とは一緒に暮らしていません。日本に再入国したのは、09年10月○○日のことで、その際にも夫の元には戻りませんでした。
3. 夫は、私と同居生活を送っているころから、タイスナックに日常的に出入りし、ホステスの女性たちに惜しみなくチップを渡して生活に困窮するなど、家庭を顧みない人でした。夫は自営業ですが、市役所の課税証明書(所得証明書)に記載されているより、ずっと多額の収入があるはずです。ですが、夫が私に渡してくれるのは、1ヶ月に3万円だけで、その金額で生活していけるものではありませんでした。
夫は、ホステスなどお店の女性のほか、現在、特定のタイ人女性と交際しているとのことです。
4. 上記のような夫の浪費癖や不貞行為を主な理由として、上記2の私の一時帰国までの間に婚姻関係は破綻していきました。
5. 夫には、土地や家屋といった自己資産があるほか、所得証明書に記載された以上の収入があるはずです。
夫とは、近々、離婚する方向で話が進んでいますが、資産・収入のある夫なのに、離婚による財産分与や慰謝料の話には全く耳を貸そうとしません。
私としては、離婚に関する条件面を夫と協議し、なお、その協議が不調であれば、家庭裁判所へ調停や訴訟の手続を取りたいと思っています。
6. 以上のように、夫との婚姻関係は、現在、破綻していると言えますが、離婚に関する条件の決定や裁判手続のため、日本人の配偶者として、1年間の更新をご許可願いたく、この申請をしたいと思った次第です。
7. 現在、私は、日本人男性C氏と同居し、生活面の面倒を見てもらっています。C氏の上申書にあるとおり、C氏とは7年ほど前からの知人であり、08年9月の一時帰国前後から、将来の結婚を約束するようになっております。夫との離婚が正式に成立して待婚期間が過ぎた時点で、C氏と再婚したいと考えています。
なお、C氏は聴覚障害者ですが、私が手話を覚えたので日常の意思疎通に支障はありません。また、C氏と一緒に居ない時間帯は、日本語による携帯電話メールにて、連絡を取り合っております。
8. 今般の申請や私の置かれた立場について、M市のボランティア相談員からは、定住者への変更許可申請もある、と教えられました。また、タイ人に詳しい行政書士に相談したところ、仮にC氏と再婚するにしても、在留期限内に帰国するなど複数の方法があることを示唆されました。
それら複数ある選択肢の中で、夫Bとは別居中ではありますが、離婚協議のため、このまま在留を希望したく、この申請をお願いすることに致しました。
2009年11月○日
申請人 (申請人Aの署名)

(身元保証人C名義の上申書)
東京入国管理局 御中
 「上 申 書」
申請人Aの在留期間更新許可申請について、次のとおり上申します。
1. 私は、茨城県N市に居住する「C」と申します。聴覚障害者ですが、同県Hi市にある会社に勤務し、生計を維持しております。
2. 私は、今から約7年前に申請人のAと知り合いました。当時、AはHo市所在の「L・S」というタイスナックに勤務しており、私はそこの顧客として同店舗を訪れ、知り合ったものです。
3. 当時、Aは特定の男性とは交際していませんでした。私は、Aとお付き合いしたいと思いましたが、聴覚障害の点もあり、このころは、スナックの店員と顧客以上の関係に発展しませんでした。
4. その後、Aは、現夫のB氏と婚姻し同居生活に入りました。
ところが、数年後、B氏の浮気などが原因で、夫婦仲が悪くなったと聞いていました。
5. 08年9月には、Aの実母が病気でタイ国へ一時帰国するというので、私も同行し、Aの家族とも会って、AとB氏が離婚するような事態になった場合は、私と再婚してもらいたい旨、了解してもらっております。その後、数回、タイ国へ渡航してAやその家族と会い、相互に理解を深めております。
6. Aは、09年10月○○日に日本に再入国し、同年11月○日から、私と同居するようになりました。生活費などは私が支出しております。
私は聴覚障害者ですが、Aが手話を覚え、また携帯電話でのメール操作を覚えてくれたので、意思疎通に問題はありません。Aは私宅で家事を綺麗に処理してくれるのでとても感謝しています。
AとB氏の間では、離婚争議中とのことですが、正式に離婚が成立しましたら、早急に私と再婚して欲しいと思っています。
7. Aの日本在留中は、私が、身元保証人となり、法令を遵守させ、生活費、帰国費用などを負担しますので、Aの希望どおりの本邦在留ができますよう、上申する次第です。
2009年11月○日
住所 (申請人Aに同じ)
氏名  Cの署名押印

「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

極めてポピュラーな「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請ですが、婚姻関係の破綻などにより別居中である事案や、離婚と再婚により実質的には新規に日本人の配偶者としての在留資格を決定する申請であったりすることもあります。
ここには、2009年から2010年に掛けて取り扱った、少々レアなケースや限界事例を掲載してみたいと思います。
永住者の妻として在留していたが、永住者(夫)と婚姻破綻した事案(下記の5)
http://www.yshimada.com/yybbsplus/yybbs.cgi?mode=new_html&no=39
とも類似性があると思われます。
なお、この項目に記載する<事例1>から<事例5>は、すべて「日本人の配偶者等」の在留資格を持つタイ国籍の女性と日本人男性の夫婦の案件です。