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2013.10.16

在留特別許可~難民異議申立東京事務局による

不法滞在による退去強制手続と難民認定申請の両方の手続が行われている場合、書面の判読も困難さ増します。
以下に、退去強制令書発布後に、難民部門で在留特別許可がなされた事例をレポートします。
概略の経過は以下のとおりです。

ご本人は、アフリカ某国出身の男性で、居住地は埼玉県です。
・2006年03月  短期滞在30日で上陸許可。その後、不法残留
・2008年07月  難民認定申請
・2009年11月  東京入国管理局調査第三部門に出頭し、本邦在留を希望
・2009年12月  仮放免許可(収容令書による収容があったことを意味します)
・2010年09月  難民不認定処分
・2010年09月  難民不認定に対する異議申立て
・2011年03月  違反判定に対する異議申出に対し理由がない旨の裁決
            退去強制令書発布
・2011年03月  仮放免許可(退去強制令書による収容があったことを意味します。以後、1ヶ月伸ばしの仮放免が続きます)
・2011年07月  日本人女性と婚姻
・2012年02月  当職事務取扱い開始
・2012年03月  代理人弁護士を解任
            婚姻関係書類等を提出
・2012年12月  夫婦間の実子出生
・2013年10月  在留特別許可
 
寸評
① 難民認定申請をなしたものの、その結論以前に、不法滞在による退去強制処分が出てしまっていました。
② 2012年2月、当職に相談がありました。
退去強制令書発布後に婚姻が成立するという身分上の大きな変動がありましたので、再審の情願を提出する前提で、審判部門の意向を確認しました。審判部門としては、難民関係の手続が係属しているのであれば、そちらの部署なら婚姻など人道的な事由に関する審査も合わせて行ってもらえる。だから、難民関係案件が現に係属しているかどうかの確認をし、それがあるのなら、婚姻など人道的な事由に関する書面も難民の部署に提出して欲しいとのことでした。つまり、難民の案件があるのなら、再審の情願は受け付けないという態度でした。
③ 難民異議申立東京事務局で確認したところ、弁護士を代理人として難民認定しない処分に対する異議申立て事件が係属していることがわかりました。
弁護士に連絡を取ったところ「その案件はもう終了したはずだ。難民案件が何か存在するのなら、本人が出し直したのだろう。自分は、今後、入管関係業務を取り扱う気はない。」との態度でした。
④ よって、本人名義で、弁護士の解任手続をするところから、事務を着手しました。
入管関係を専門にしている弁護士さんはあまり多くなく、そのときは専門だといいながら、適当な時期に事案を放置する。そういう方も珍しいとは思いません。弁護士さんに喧嘩を売るつもりはありませんが、ご自身の運命を託す人物を選ぶのはなかなか難しいことです。
⑤ 同年3月、上記②のような審判部門の指導があったので、再審の情願は出さず、難民異議申立東京事務局に対し、いわゆる在留特別許可案件と同程度の書類を提出し、日本への在留を強く求めました。
上記のとおり、日本人妻との婚姻・同居に加えて、日本人妻の両親との同居生活の模様や妻の母からの嘆願書等も提出しています。
その後、妊娠・出産と、状況はますます保護すべき要素が増えてゆくことになります。
⑥ 同年8月、審判部門と難民異議申立東京事務局の連名で、難民異議申立てに関する申述書の提出を指示する文書と追加資料の提出に関する注意文書が郵送されてきました。日時指定で本人にインタビューをする旨の連絡もありました。
これについて、難民異議申立てに関する申述書であれば、以前に弁護士名で提出済みであるはずだと訝しがって出頭に同行しました。
そうしたところ、難民異議申立東京事務局の担当者は「弁護士を解任したので、改めて申述書を提出しなおして欲しい。弁護士名義の難民異議申立てに関する申述書のとおりで良いのかどうか確かめたい」という趣旨の意向を述べました。裁判所出身の私からしますと、代理人弁護士が代理権のあるうちになした訴訟行為は有効ですから、このときの難民事務所の扱いには違和感を覚えたものです。このときは、本人の意向で、かつて弁護士が書いた書面を本人がそのまま引用する形の申述書を提出することになりました。私としては、法が定める難民の定義から外れた内容の申述書は避けるべきだと思ったのですが、本人の意思に任せる形になりました。
⑦ その後、自宅調査(担当官が本人・家族のいる家に来て状況を調査する)など、かなり慎重な調査と長い時間を掛け、最終的に2013年10月、在留特別許可を付与されるに至っています。
⑧ 上記のとおり、本件では再審の情願をなしたわけではありませんでしたが、2011年3月の退去強制令書発布後に婚姻が成立し、そのことを理由として最終的に在留を許可されたわけですから、実質的に見れば、再審の情願が認められたのと同様であったと考えられます。