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2019.08.24

戸籍に記載されない日本人の嫡出子

国籍法第12条に「出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。」との条文があります。戸籍法104条は、その期間を3ヶ月以内と定めていますから、要するに前記国籍法の要件と合わせて、子の出生から3ヶ月以内に国籍留保届を提出しないと、出生時に遡及して日本国籍を喪失することになります。つまり、日本人の嫡出子にして、戸籍に登載されない子が多数存在するのです。こういうケースは、国際結婚家庭に多く発生しますが、日本人同士の夫婦間の子であっても、例えば、アメリカ(国籍生地主義)で子を出産すると、同じ法理により、日本国籍を喪失し戸籍に載らない嫡出子、という事案が発生します。下記のサイトですと、「2.出生子の日本国籍喪失にご注意下さい。」の部分です。
https://www.la.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/m03_04_38.htm
結局、戸籍を頼りに相続人を確定させる作業をしていると、必ず、相続人の「漏れ」が生じるのです。
これが非嫡出子であれば、認知届は日本人の戸籍に載ります。こういう矛盾は昔から指摘されているところで、ある意味、私ども国際結婚者の間では常識と言えます。
今般、相続法の改正がありました。法改正があったからこそ、前々から問題になっている「戸籍に載らない嫡出子」について、何らかの手当をしてほしかったし、また、相続実務を取り扱う人たちの認識を改めてほしいと感じた次第です。

2013.04.11

公正証書遺言

(1) 遺言者は、80歳代の男性Aさんです。
Aさんにはお子さんがありません。妻Bさんのほか交流のない兄弟甥姪が7名ほどおいでになるだけです。養子をお迎えするお気持ちもないとのことでした。
つまり、推定相続人は妻Bさんと兄弟甥姪7名ということになります。
(2) Aさんの財産は、AさんBさんご夫妻でお住まいの土地建物とAさん名義の銀行預金です。
(3) このままAさんが亡くなりますと、Bさんが4分の3、兄弟甥姪7名が残りの4分の1を共同相続することになります。兄弟甥姪7名の中には連絡の取れない方、意見の食い違う方なども想定されます。相続の協議で話合いが付かない場合には家庭裁判所で遺産分割の審判になることもあります。共同相続人中に連絡の取れない方がある場合には家庭裁判所で不在者財産管理人を選任する必要があります。
(4) 相続人が兄弟甥姪の場合には、遺留分がありません。ですから、Aさんが妻のBさんに全財産を相続させる旨の遺言をしても、問題は何も起こらないことになります。
(5) 遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります(一般の実務)。
自筆証書遺言の場合には、全文を自分で記載し日付を入れて署名押印をすれば良い、と簡便です。しかし、相続開始後(Aさんが亡くなった後)、家庭裁判所の検認手続を経なければなりません。検認の申立てをするには膨大な戸籍資料を提出しなければなりません。また、家庭裁判所は、すべての相続人に対して呼出の手続を行った上で検認を行います(下記、裁判所のサイトなどをご参照ください)。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_17/
それに、家庭裁判所の遺言書検認手続は、一種の検証手続に過ぎず、遺言という証書の真否を争う場所ではありません。証書の真否(遺言書が真筆か偽造かなど)に関して、他の相続人から証書の真否確認訴訟が地方裁判所に提起されるかもしれません。
(6) 公正証書遺言の場合には、公証人に遺言書を作ってもらうことになります。公証人というと、普通の方には不慣れで、若干敷居が高く感じられるかもしれません。公証人に支払う費用も掛かります。
しかし、公正証書遺言であれば、家庭裁判所の検認手続も不要ですし、遺言書の紛失・焼失や悪意を持った者による破棄といった暴挙に対しても、公正証書の原本が公証人役場に保管されるので安心です。
提出書類に関しても、前述の遺言書検認手続に比べて下記のように簡便です。
・遺言者と相続をする人(この場合はABご夫妻)の戸籍謄本
・遺言者の印鑑証明書と実印
・遺言者の固定資産評価証明書
・証人2名の身分証明書(運転免許証など)と認印
(なお、銀行預金に関しては、口頭で述べれば良いという公証人が一般的なようです。固定資産評価証明書や預金額は、公証人の報酬算定のためだけに必要なデータです)
(7) 遺言書の内容は、
 1、遺言者は不動産預貯金その他一切の財産を妻に相続させる。
 2、遺言執行者に妻を選任する。遺言執行者は預貯金の払戻など、遺言執行のための一切の権限を有する。
という趣旨になります。
 遺言執行者に関する記述は、預金を払い戻す際に、銀行に対して相続人である妻の立場(遺言執行者でもある旨)を明確にするために記載します。
(8) 公正証書遺言を作成するためには、公証人との間で、遺言書の内容の原案や提出書類について、また、遺言書作成の日時に関して、打合せをしておくのが通例です。私どもにご依頼くだされば、遺言書の証人にもなりますし、公証人との間で、事前にこういった“お膳立て”をしておきますので、公証人役場での手続は、実にすばやく出来ると申し上げられます。
 特に、本件の例などは、遺言者Aさんのご年齢や健康状態を勘案して、ベストな時期にベストな手続を行うことが出来たと言えます。
 AさんBさんご夫妻とも、大変、安堵されたご様子でした。