2013.12.26
① 来日後の履歴
申請人は、茨城県に居住する40歳代のタイ人男性です。
不法残留後、2007年5月、永住者である妻と婚姻し、2009年1月、在留特別許可を得、永住者の配偶者等(1年)を付与されました。
その後も、永住者である妻、妻の長女と同居生活を送り、更新1年(2010年)、更新1年(2011年)、更新3年(2012年)を許可されました。
② 申請時期と添付書類
2013年8月、東京本局へ、永住許可の申請をしました(当職取次)。
在留特別許可から4年、婚姻後6年の時点での申請ということになります。
法務省がアナウンスしている添付書類のほか、以下のような添付書類を提出しました。
・主たる生計維持者である申請人本人の市県民税課税証明書、同納税証明書3年分…追加要求されやすい書面ですので、最初から3年分を添付しています。
・永住者である妻の在職証明書、市県民税課税証明書、同納税証明書3年分
・社会保険の保険証コピー(一家3人分)
・住居報告
・親族概要
・理由書…主に、永住許可を得て、住宅を購入したいという趣旨です。
・スナップ写真
・第三者身元保証人の在職証明書、住民票、市県民税課税証明書1年分…これは、本来の身元保証人である永住者妻の収入が低いため、従前、入管で指導を受けたとおり、第三者の身元保証人をダブルでつけたためです。
③許可の時期
追加書類の要求はなく、12月中旬、許可受領してきました。申請から3ヵ月半ほどで、審査も早めであったと言えます。いくつかの情報から、処理が早くなってきている様子だと察していました。
ただし、取扱局による差は相当あると思われます。複数の管轄がある案件では、どの入管へ申請するか、というのも1つの要素になるでしょう。
2013.02.02
近時、永住許可がかなり厳しくなっているという声を耳にすることがあります。
本稿では、2012年7月9日の法改正後に永住許可された事例を掲げてみます。たまたまですが、本日ご紹介する申請人はすべて男性ということになりました。
1 上陸特別許可による永住者の配偶者等からの永住許可
① 来日後の履歴
2008年7月、上陸特別許可(上陸拒否期間中の上陸許可。当職取次)を得て上陸し、永住者の配偶者等(1年)を付与されました。
永住者である妻及び妻の第三子(小学生)と同居生活を送り、更新1年(2009年)、更新3年(2010年)を許可されました。
② 申請時期と添付書類
2011年11月、東京本局へ永住許可の申請をしました(当職取次)。
上陸から3年、婚姻後4年経過の時点での申請ということになります。
法務省がアナウンスしている添付書類のほか、住居報告、親族概要、スナップ写真、理由書を添付しました。理由書の内容は主に「永住許可を得て政府系金融から融資を受け、自宅を購入したい」との趣旨です。
③ 追加書類等
入管からは、追加の書類提出などは求められませんでした。目立つ形での自宅調査も電話照会もありませんでした。
ただし、震災の影響で空き家になった半壊家屋の無償譲渡を受け(自己補修して居住)、土地は賃借する形で転居したので、その居住関係報告と、相変わらず政府系金融からの融資を受けて土地建物を自己名義にしたい趣旨は入管に報告しました。
④ 許可の受領
2012年7月下旬に葉書を受領し、8月上旬に在留カードを受領しました。
⑤ 寸評
夫婦共働きであり、世帯の所得額、住民税の課税・納税も問題ありませんでした。
この案件を見る限り、法改正前と全く変わりがないという印象を受けました。
2 在留特別許可による永住者の配偶者等からの永住許可
① 来日後の履歴
不法残留後、永住者である妻と婚姻し、2007年2月、在留特別許可を得、永住者の配偶者等(1年)を付与されました。
永住者である妻と同居生活を送り、更新1年(2008年)、更新3年(2009年)を許可されました。
② 申請時期と添付書類
2012年1月、東京本局へ、更新3年と永住許可の同時申請をしました(当職取次)。
在留特別許可から5年、婚姻後6年弱の時点での申請ということになります。
(更新はこの当時の基準どおり4週間程度で許可証印を得ました。)
法務省がアナウンスしている添付書類のほか、住居報告、親族概要を添付しました。スナップ写真や理由書は添付していません。在留特別許可から5年も経過しているので、細かい説明は不要と考えたためです。
ただし、この永住者妻は視覚障害者で無職無収入のため、第三者の身元保証人と所得証明書を添付しました。
③ 追加書類等
入管からは、2回に渡って追加の書類提出を求められました。
ⅰ)申請人に掛かる過去2ヵ年分、申請後1ヵ年分の市県民税課税・納税証明書
ⅱ)妻に掛かる直近1ヵ年分の市県民税課税・納税証明書
まず、ⅰ)に関してですが、申請書には法務省のアナウンスどおり、申請時点での直近1ヵ年分の市県民税課税・納税証明書を添付したのですが、その前年・前々年分と、時間経過により提出することが可能になった申請後の市県民税課税・納税証明書を追加要求されたわけです。
これは、他からも報告があるように、近年、所得申告や納税義務の履行を厳密に調査するようになった結果と言えます。
ⅱ)に関しては、ⅰ)のうち申請後1ヵ年分の市県民税課税証明書に「被扶養配偶者 無」となっているところに、入管が目をつけたことによるものです。申請人は、勤務先会社に「被扶養配偶者 有」と報告していたのに、会社がそれを無視し、「被扶養配偶者 無」との源泉徴収を行った結果によるものです。妻に関しては市県民税非課税証明書を提出、申請人については確定申告をやり直したうえ「被扶養配偶者 有」と変更された後の市県民税課税・納税証明書を追加提出しています。
④ 許可の受領
2012年9月中旬に葉書を受領し、同月中に在留カードを受領しました。
⑤ 寸評
申請時点から見て直近年度の市県民税課税・納税証明書を添付したうえ、追加資料として申請時点から見て過去2ヵ年分、申請時点から見て次年度1ヵ年度分、つまり、4ヵ年分の課税・納税証明書に意を払わなければならなくなったことを意味します。
3 上陸特別許可による日本人の配偶者等からの永住許可
① 来日後の履歴
2008年12月、上陸特別許可(上陸拒否期間中の上陸許可)を得て上陸し、日本人の配偶者等(1年)を付与されました。
日本人妻と同居生活を送り、更新1年(2009年)、更新1年(2010年)を許可されました。ですが、在留期間1年を3回という処分を受けたことから、2011年の更新時期は当職が取次し、更新3年を許可されました。
② 申請時期と添付書類
2012年6月、東京本局へ永住許可の申請をしました(当職取次)。
上陸から3年半、婚姻後6年弱の時点での申請ということになります。
法務省がアナウンスしている添付書類のほか、住居報告、親族概要、スナップ写真、理由書を添付しました。
夫婦とも就労していているため、夫婦とも在職証明書、市県民税課税・納税証明書を添付しています。なお、申請時期が6月中旬であり、高収入である妻に関する納税時期が未到来だったため、念のため、妻についてのみ直近年度とその前年の市県民税課税・納税証明書を添付しています。
理由書の内容は主に「祖国の親族との交流がなく、過去・将来とも一時帰国しない。生涯を日本で暮らしたい」との趣旨です。
③ 追加書類等
ⅰ)申請人(外国人夫)について
- 過去3年分の国民健康保険料納付済額証明書又は社会保険証のコピー
- 国民年金又は厚生年金全部の納付状況
- 住民税課税・納税証明書(直近の前年と前々年分)
ⅱ)日本人妻について
- 過去3年分の国民健康保険料納付済額証明書又は社会保険証のコピー
- 住民税課税・納税証明書(直近の前年と前々年分)
一部は申請時点で添付した書類と重複するように思いますが、入管の見落としでしょうか。いずれにしても、市県民税課税・納税証明書関係だけではなく、国民年金や健康保険料についてまで、履行しているかどうか調査するようになった点には注目しなければなりません。
④ 許可の受領
2013年1月上旬に葉書を受領し、同月中旬に在留カードを受領しました。
⑤ 寸評
この申請人ご夫婦は、妻のほうが安定した収入があって主たる生計維持者になっています。どうも、入管は申請人(夫)の低収入を訝しく思っていたのかもしれませんが、申告、納税、年金、保険のどこにも不正はないことが理解され、許可されたものと思われます。
2012.03.10
ご当事者は中国籍の女性です。
概略の履歴は以下のとおりです。
2006年2月 退去強制処分、上陸拒否5年
2006年8月 日本人男性と婚姻届出(双方とも再婚)
2008年7月 上陸特別許可、日本人の配偶者等1年
2009年5月 更新許可、日本人の配偶者等1年
2009年6月 実子を中国から認定にて呼寄せ、定住者1年
2010年6月 更新許可、日本人の配偶者等3年
2010年6月 実子の更新許可、定住者1年
2011年7月 永住許可申請
2011年8月 実子の更新許可、定住者3年
2012年2月 永住許可
(いずれも東京入管本局扱い。BLUEの部分は実子に関する記事)
上陸特別許可から満3年の経過時点で永住許可を申請しました。
法務省が定める提出書類のほか、下記の書類を添付しました。
・住居の概要
・親族一覧
・スナップ写真
・理由書…永住を求めたい理由、日本人夫と実子との3人による生活ぶりなど簡単な記述
若干の感想等
永住許可のガイドラインをクリアしていますが、過去に退去強制処分を受けたことがあり、上陸特別許可から3年という短期間での永住申請はある意味でトライアル的な事案だったかもしれません。
上陸から1年経過した時点で、実子(いわゆる連れ子)を呼び寄せています。この子が、地元の公立中学に編入し、高校へ進学しました。感覚的な言い方になるかもしれませんが、この実子の存在が、夫婦の生活にかなりの安定感を与えた印象がありました。
日本人夫は一般のサラリーマンで、入管が基準にしていると言われる収入はありますが、上場企業とか特段の高収入とか特別な国家資格による職業などではなく、賃貸物件に居住している、いわば普通の人です。
入管の調査としては、許可の結論が出る1ヶ月ほど前に、生活状況や理由書に記載の内容などを尋ねる電話がありました。
ご一家の益々の幸あれと願っております。