Home > 在留期間更新(特殊な例)

2013.12.26

技能の更新(在留資格取消事由該当)

申請人は栃木県内に居住する40歳代のインド人男性です。
2005年に技能(コック)1年で上陸許可。
その後、いくつかの料理店を転勤しながら今日に至っています。

依頼を受けた時点では、栃木県内のインド・パキスタン料理店に勤務しており、在留資格は技能(1年)、在留期限は2013年11月でした。
問題は、前回の更新直後の2012年11月、勤務先を退職、日本を出国してインドに帰国し、6ヶ月以上、日本で就労していなかった点です。よって在留資格取消事由に該当しています。
再来日後にも再度転職していますので、前回の更新後、2回転職し、いずれも契約機関に関する届出を行っていませんでした。ただし、退職に関する証明書はいずれも所持していました。
契約機関に関する届出に関しては、あらかじめ、東京入管宇都宮出張所に相談してみました。
その回答は「届出制度が浸透していないようです。更新と同時で構いませんので、速やかに届け出るようにしてください。」とのことでした。

内容は更新申請ですが、認定案件に準じる書類を添付することにしました(申請人の本国での職歴証明書を除く)。
また理由書を添付し、以下のような説明を加えました。
・6ヶ月に渡る一時帰国の理由として、数年前に本国で結婚したが、妻を日本に招聘しないで別居婚の状態が続いていたので、夫婦としての生活を取り戻したかったこと、今回の一時帰国で妻が妊娠したこと。
・3ヶ月以上、就労していないと、在留資格取消の対象になることを知らなかったこと。それに対する謝罪と今後の法令遵守の誓約。
・コックとしての在留履歴が8年に及ぶこと。コックとしてのキャリアが20年に及ぶこと。
概略以上のような内容で更新申請をなし(東京入管宇都宮出張所取扱い)、同時に契約機関に関する届出を2通提出して、10日ほどで更新許可(1年)を認められています。

油断をしてはいけませんが、在留資格取消事由該当に関しても、契約機関に関する届出に関しても、かなり柔軟な取扱いがなされているという感想を持ちました。

2013.04.20

「日配」更新<事例6>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例
(在留資格取消事由該当)

<事例6>
前夫と離婚し、現夫との婚姻を理由に更新許可を求めた事例。
住居地:茨城県
入管:東京入国管理局(本局)
申請時期:2013年3月上旬
事案概要:
(序)本件のテーマは、外国人女性Aが日本人夫Bと離婚をした後、日本に在留したまま日本人の後夫Cと再婚し、在留期間更新許可を求めた点で<事例4>http://office.yshimada.com/?p=164と類似しています。
 しかし、Aは、2012年7月の改正法施行により、前夫Bとの別居から6ヶ月以上経過したため、在留資格の取消事由に該当している点で、その法的立場に大きな相違があります。
(1) 外国人女性Aは、1992年に日本人夫Bと婚姻し、同年、日本人の配偶者等の在留資格で上陸し、同年中にAB間の長男が出生しました。以後、更新許可を続けてきました。
(2) 2011年6月、AはBと別居し、単身で暮らすようになりました。
2012年4月、Aは別居中のまま、日本人の配偶者等(1年)の更新許可を得ました。在留期限は、2013年4月下旬でした。
(3) Aは、転居後に勤務するようになった会社の同僚として日本人男性Cと知り合い、交際するようになりました。
(4) Aは、長男の親権者をBと指定し、2012年6月下旬、Bと協議離婚しました。日本法の待婚期間は、同年12月下旬までとなります。
(5) 改正法によると、改正法施行日の2012年7月9日以降に、日本人の配偶者等の在留資格(日本人の妻又は夫に限る)による上陸許可、更新許可、変更許可を受けた場合、離婚の旨を入管に届け出る義務を定めています。これについては、Aの更新許可が改正法施行日より前だったことから、この届出規定には該当しないことになります。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00016.html
(6) 一方、同じく改正法によれば、日本人の配偶者等の在留資格(日本人の妻又は夫)で在留していて、日本人配偶者と別居して6ヶ月を経過すると在留資格の取消事由に該当する、との趣旨の規定あります。この場合、日本人配偶者はBであり、なお、正当な理由がある場合は除かれますが、AB間には別居するにつき正当な理由は見当たりません(入管法22条の4第1項7号)。
(7) この点から、前記<事例4>と同じく、在留期間更新許可を申請して良いのかどうか、いささか疑問を生じました。
本件の対処法は、以下のとおりであろうと考えました。
① 認定案件として処理する方法
 AとBの離婚成立後、Aは速やかに帰国し、Cとの再婚が成立してから、日本人の配偶者等の在留資格認定証明書交付申請を行い、それに基づき、来日する方法です。
② 変更案件として処理する方法
 AとBの離婚成立後、Aは速やかに、定住者などへの在留資格変更許可申請を行う方法です。なお、AとCの再婚が成立した後、再び、日本人の配偶者等への変更許可申請を行う必要があることになります。
③ 更新案件として処理する方法
 AとBの離婚成立後、待婚期間(2012年12月下旬まで)が終わるのを待ってCと再婚の届出をなし、Cとの婚姻を理由に在留期間更新許可申請を行う方法です(又は、Aの本国法に待婚期間の規定がなければ、AとCでAの本国へ赴き、婚姻手続を行うことも考えられます)。
(8) 各方法の特徴を検討しますと、
 ①の方法が入管の本則であろうと思われます。
 ですが、同時に、当事者(AとC)はそれまでの生活を一変させなければならず、当事者が最も嫌う方法であろうとも言えます。
 ②の方法は、Aの在留履歴や夫Bとの同居・婚姻生活の長さ、独立生計要件など、定住者への変更許可に十分見込みがある場合に取りうる手段だと言えます。本件では、定住者への変更許可の可能性は十分にあり、かつ、他の在留資格への変更の可能性は考えられませんでした。
 しかし、再婚成立後にもう一度、日本人の配偶者等への変更許可申請を行う必要があるので、二度手間的であり、当事者に負担が大きい方法とも言えます。
 ③の方法ですが、Aの待婚期間が2012年12月下旬までであり、それから婚姻手続に入ったとして、婚姻成立後に更新許可申請を行うことになります。更新許可の申請時期は、原則として在留期限である2013年4月下旬の3ヶ月前である同年1月下旬以降となります。なお、前記(6)により、AはBと別居して6ヶ月を経過すると在留資格の取消対象になるわけですが、その起算点は改正法施行日の翌日(2012年7月10日)であると解釈されており、2013年1月10日以降、Aは在留資格の取消対象になると解されます。
 つまり、本件では、在留資格取消対象の時期に入らないと更新許可の申請は出せないことになりますので、入管が受け付けてくれるのか、また、許可の可能性はどの程度あるのか、大いに疑問であると言えます。改正法により、在留資格の取消対象となったことで、<事例4>と法的地位が大きく異なることになりました。
 ですが、当事者にとっては、それまでの生活を変える必要がなく、また、1回の申請で済みますので、大変便宜ではあります。
(9) このように、それぞれの方法にプラス点、マイナス点がありますので、どの方法が適切であるのか、というより、③の方法(更新手続)を取って良いのかどうか、2012年秋、東京入管本局永住審査部門の意向を聴いてみました。もちろん、在留期限や待婚期間など、日付を示して説明をしました。そうしたところ、同部門の回答は「更新手続で良い」とのことでしたので、この方法によることにしました。
(10) Aが離婚したことによる本国での復氏の手続と復氏後のパスポート発行、本国の独身証明書や在日大使館の婚姻要件具備証明書の発行。また、Cの親族の説得(初婚であるCは老母との2人暮らしでした)など、当初の予定より案外時間が掛かり、AとCの再婚が成立したのは、2013年2月下旬になりました。
(11) 戸籍謄本が出来るのを待ち、同年3月上旬、東京入管永住審査部門へ在留期間更新許可申請を出しました(当職取次)。このとき、Aの本国での婚姻証明書はまだ出来ていませんでしたので添付せず、入管から追加要求があれば提出できるよう準備を進めていました。
(12) 提出した書類は概ね以下のとおりでした。要するに、申請書だけ更新許可を使い、その他の添付書類は認定案件に準じています。
・在留期間更新許可申請書
・身元保証書
・質問書(http://www.moj.go.jp/content/000007383.pdf)(※1) 
・スナップ写真5枚程度
・Aの戸籍謄本(婚姻事項の記載のあるものです)
・AとCの住民票写し
・Cの在職証明書、住民税課税証明書、同納税証明書(※2)
・Aの住民税課税証明書、同納税証明書(※3)
・Bの戸籍謄本(※4)
・住居の概要(※5)
といったところです。
(※1)質問書別紙として「婚姻に至る経緯書」を添付しています。また、事前に永住審査部門を訪ね、更新許可申請で良い旨の指導を受けたことも記載しました。 
(※2)CがAを扶養するという申請内容にしたため、Cの扶養能力と申告納税義務を果たしていることを証明するためです。
(※3)Aにも生活力があること、つまり、仮に入管が更新許可に消極的審査をした場合にも定住者の要件が整っていることの証明となるため。また、きちんとした申告納税義務を果たしていることを証明する(在留状況の良好さを示す)ためです。
(※4)一般的に前夫の戸籍謄本を添付するようにしています。
(※5)現地調査の可能性があるので添付するようにしています。
(13) 申請後、1ヶ月以上を経過した4月中旬になってから、追加資料の要求がありました。
 追加資料は「質問書」と題する書類で、これは、認定案件で添付する上記URLの「質問書」とは内容が異なる下記のような様式でした。
http://www.yshimada.com/images/koushin_shitsumonsho.pdf
 これに従って記載し、また、アパートの賃貸借契約書のコピーとスナップ写真2枚(既に提出済みのものと異なるものにしました。スナップ写真は申請時点で数枚添付していますので可笑しな具合ですが、質問書の中で追加要求されていますので逆らわずに提出することにしました)。
 この質問書(koushin_shitsumonsho.pdf)の内容を見ていますと、入管は、何らかの調査をした結果、「AC夫婦が同居していないのではないか」と思ったようです。そして、別居もしくは外泊について合理的な理由があるかどうかを尋ねているようです。実は、夫Cの勤務形態が昼勤・夜勤の1週間交代だったので、入管が同居事実を誤認したのかもしれません。
(14) 質問書(koushin_shitsumonsho.pdf)を郵便で送付し、それが入管に到着したと思われる日付で、入管から葉書が発送されてきました。
 数日後、在留カードを受領してきました。
 許可内容 更新許可、日本人の配偶者等(1年)
(15) 離婚の届出義務はなく(5)、在留資格取消事由に該当している(8)、という珍しい案件でした。今後、同種の案件は、離婚の届出義務にも在留資格取消事由にも該当することになるでしょう。
 より一層の慎重な申請方針の検討が求められるところであろうと思われます。

2012.02.07

定住者の配偶者である定住者の再婚による更新許可

序. 定住者告示により、定住者の配偶者には、定住者の在留資格該当性があります。
1. 本件の夫(A)は不法残留していたところ、元々、定住者の在留資格を認められていた妻(B)と婚姻して、入管に出頭し、2010年12月、在留特別許可を得て、定住者の配偶者として定住者の在留資格を付与されたものです(なお、ABともに、日本式の婚姻・離婚を認められているタイ国籍者です)。
2. ところが、2011年8月、AB夫婦は詰まらない喧嘩をして、茨城県C市役所に協議離婚届を提出しました。AB揃って市役所に出頭したそうで、協議離婚届の無効を検討する余地はありませんでした。一方で、離婚届に関係なく、ABはC市内にて同居生活を続けていました。
3. 在留期限が2週間ほどに迫ったころ、ABは慌てて在東京大使館に赴きましたが、「日本の市役所発行の離婚届受理証明書に外務省認証を受ける。タイ国の離婚証明書、改姓証明書、独身証明書、改姓後の住居登録の取得。改姓後のパスポート申請。婚姻要件具備証明書の取得」といった、ごく当たり前の手順を踏むよう、勧められたそうです。これですと、短く見積もっても3ヶ月程度を要する手続になります。
とても、在留期限には間に合いません。
4. こういう場合には、通達があります。
つまり、日本式婚姻→本国側婚姻報告→日本式離婚の順で手続を行った場合、同一配偶者間で日本式に再婚をする際には、独身証明書に代えて本国の婚姻証明書を添付すれば足りる、ということです。
この事案の場合は、本国から、夫婦となる両名につき、婚姻証明書のほかに、住居登録と出生証明書を取り寄せています。
同一配偶者間での再婚での事例としては、下記が類似記事です。
http://office.yshimada.com/?p=166
5. 本件では、在留期限の前日に本国書類が到着しましたので、C市役所へ本国婚姻証明書などの添付書類と共に婚姻届を提出し、法務局の確認を得た上で、婚姻届受理となりました。
入管へは、婚姻届受理証明書、質問書などを添付の上、在留期間更新許可申請をなし、予定どおりの期間内で更新許可されています。
6. もし、仮に婚姻届が在留期限に間に合わない場合、どういう対処をしたら良いか?
これを、一般的な離婚後の再婚事例と仮定したときに、考え方として、下記の3つが想定されました。
①在留期限日までに、いったん短期滞在に変更許可申請する。
②更新申請を出しておいて、日本の婚姻証明書を追完する。
③出国準備以外にない。
実は、以前に同様の問題がさるネット掲示板で論争になり、私は③を主張したが、①の支持者が多く、言い負けた感じでした。
今般、申請前に、東京入管永住審査部門に婚姻届が間に合わなかったと仮定して、対処法を問い合わせてみました(なお、入管の対応は、再婚配偶者が同一でも別人でも同じです)。
同部門の回答は③で、それも、出国準備期間1ヶ月とし、その期間内のチケットと出国する旨の誓約書を提出すること。取次は可能とのことでした。なお、婚姻成立後に出国準備から配偶者資格への再変更は検討する余地がある、との付言はありました。

2011.06.01

短期滞在の更新(レアケース)

1 短期滞在の更新  -原則-
 在留資格「短期滞在」は在留期間15日、30日、90日の3種類の期間が決められています。他の在留資格と同様に更新許可申請を行うことも可能ですが、法務省の下記サイトにあるとおり、
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/ZAIRYU_KOSHIN/zairyu_koshin10_17.html
 —上記サイトから引用—
外国人の方が,疾病等の理由により,短期滞在の期限を延長する場合
※ 「短期滞在」の更新申請については,原則として,人道上の真にやむをえない事情又はこれに相当する特別な事情がある場合に許可が認められるものです。
 —引用終了—
 来日した外国人自身の病気か、そうでなければ、滞在先(来日した外国人の実子宅など)に幼児(未就学児)があり、その監護の必要がある場合などに限定されているのが一般的です。
 なお、在留期間更新許可申請書は、下記サイトに掲載されています。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-3-1.html

2 人道的事由によらない短期滞在の更新
 上記のように病気や幼児監護など人道的事由によらないで、短期滞在の更新が許可されうるのか、今まで実例を聞いたことがありませんでした。
 今回、当職が処理したのは次のような事案でした。
(1) 2011年4月、都内にある輸入商社から、以下のような相談がありました。
 風力発電所の部品を修理するために、同部品を製造した中国のメーカーの技術者7名が短期滞在30日の在留資格で来日することになった。
 来日前の予定では2基の部品を修理するはずであったが、来日して検品してみると、それ以外に6基、合計8基の修理を要することが判明した。
 30日間ではとても8基全部の修理を完了することはできない。
 こういった理由によって、短期滞在の期間更新を依頼したい。
(2) 最初に考えたのは、短期滞在の資格によって「修理」という外見的に労働に類する活動を行うことが許されるのかどうかです。この点に関しては、給与・報酬が日本側から支出されないことが条件になります。後に、入管当局にも確認したところですが、中国人技術者(以下、「申請人」と書きます)は、中国企業の社員であり、同社から給与が支払われるということであれば問題ありません。名目を問わず、実質的に報酬と判断される金銭が、日本企業から中国企業へ、中国企業から申請人らに支給されるのであれば、不法就労ということになろうと思います。
 また、この修理を行うことになったのは、中国企業が製造した部品の初期不良に原因があり、かつ、製品の保障期間内であることにも留意しました。自然災害や使用法の過誤による破損・故障であれば、買い取った日本側で修理費を負担すべきものと思われるからです。
 本件は、初期不良による「クレーム処理」としての修理だったのです。
(3) 短期滞在の在留期間は、90日、30日、15日と3つの期間が規定されています。
 更新期間については、上陸時点で許可された滞在期間(現在では領事館の定めた期間と同じ)が90日の場合、仮に更新が許可されるとすれば、90日、30日、15日の更新いずれか1回を認めるのが通例です。
 上陸時点で30日の場合、仮に更新が許可されるとすれば、30日、15日の更新いずれか1回を認めるのが通例です。
 上陸時点で15日の場合、仮に更新が許可されるとすれば、15日の更新を1回認められるのみです。
(4) これに対する依頼人の希望は、以下のようなことでした。
 a. 上陸許可30日に対して、合計90日の滞在を認めるよう申請してほしいとの申し出でした。 →しかし、これですと、30日の更新を2回行うことになり、これも大変例外的な希望であると思われました。
 b. 申請人らは急ピッチで修理作業を進めているので、自ら入管に出頭することなく取次申請によって申請して欲しい。 →短期滞在の更新においては、本人同行することが多いのですが、この点に関しては、下記(5)のとおり、入管当局の了解を得られました。
 c. 申請人らが入管への出頭を求められた場合に備えて、出張所への申請を希望するとのことでした。 →しかし、この点に関しては、こういった超レアな事案は本局申請に限ると考えました。また、依頼者の指定する出張所には管轄権がないと判断されました。
(5) 本件は、通常申請されるような人道的事由によらない更新許可申請です。
 また、希望する更新期間が、上陸時点で付与された期間より長い、例外的な長期間です。
 人道的事由による更新の場合、入管当局が申請人自身の状況を聴取することが多いため、本人同行することが通例なのに対し(帰国の誓約書に本人の署名を求められることもあります)、申請人らが出頭しないで取次申請するというのもあまり多くない例だと言えます。
 この事案について、4月下旬の来日から1週間を経過した時点で、以下の主張をもって、東京入管本局へ事前打合せに赴きました(事前打合せがこの時期になったのは、(1)のとおり、修理・検品を開始したところ、全部で8基の修理の必要性が判明したためです)。
申請人側の主張として、
① 原発事故による電力不足の補充という国益に沿う活動であること。
② 間もなく到来する夏季には大幅な電力不足が予想され、それを補充する意味を持つ緊急性があること。
③ 大震災と放射能汚染のために中国当局が日本渡航自粛の指示を出し、来日日程が1ヶ月も遅れてしまったこと。入管法の原則どおり、いったん帰国して再来日していたのでは、上記のように夏季の電力不足対策に間に合わなくなること。
 この事前打合せには大きな意味がありました。
 入管当局は、当初、「来日時の30日に加えて更新30日を認めた後は、いったん帰国する以外にない。」と原則論を述べていましたが、上記①ないし③の主張をしたところ、上席の審査官から「上陸許可時点で30日の短期滞在に加え、90日の更新を最大限検討する」と約束してもらうことができました(氏名を名乗った上、申請時には直接自分を呼び出すよう指示してくれました)。
 また、行政書士による取次申請に関しても、問題ないとの言質を得ることが出来ました(ある意味では当然ですが、人道的事由による場合は本人聴取も重要であることは否めません)。
(6) 提出資料等に関してですが、まずは、領事館へ提出した招聘理由書などを送付してもらい、依頼内容と合致しているかどうかの確認作業を行いました。
 更新許可申請書関係は、一般的な内容以外に、上記①ないし③の事情を理由書に記載するほか、風力発電所の故障に関する具体的な状況説明、日中双方の発電機に関するパンフレット、作業現場や申請人らの作業状況の写真、現場地図なども添付しました。
 また、この風力発電機は、F重工業が組立て、H製作所に納品しています。よって、F重工業もしくはH製作所といった著名な上場企業から理由書などを交付してもらい、入管の信用度を高めるのも1つの方策でした。
 そして、行政書士業務としては、何といっても、行政書士自身が作業現場を現実に見に行くこと。申請人らと面談し、申請書と偽りのない人物が、偽りのない場所で、偽りのない活動をしていることを確認すること。
 これが要点であると言えます。
(7) 5月中旬に、短期滞在90日の更新を求める申請書を東京入管(本局)短期滞在部門に提出し、即決で、90日の更新を認められました。
 これにより、合計の滞在期間は120日となりました。
 これ以前の例ですと、短期滞在の更新が許可された場合、許可証印の下に「今回限り」もしくは「FINAL EXTENSION」とスタンプされていましたが、本件ではそのスタンプが見当たりません(理由は不明です)。
 
 当職としては、このような滅多にない事案を担当させていただき、関係各位に深く感謝しております。
 風力発電機が快調に電力を作り続けることを祈っております。

(2011.6.7追記)本件許可と直接の関連性があるかどうかはともかく、
 午後10時から放送されたテレビ朝日系列の報道ステーション(メインキャスター古舘伊知郎氏)の中で、本件の風力発電所が報道されていました。
 洋上風力・地熱発電の可能性として、「茨城県神栖市の海岸に国内初となる本格的な洋上風力発電所があり、現在、7基の風車が稼働している」として、『ウインド・パワー・いばらき』の模様が映し出されていました。
http://www.tv-asahi.co.jp/dap/bangumi/hst/news/detail.php?news_id=20750 (報道ステーションのサイト)
http://www.komatsuzaki.co.jp/windpower/kamisu.html (風力発電所のサイト)
 この業務が、国益の一助となる感慨を持ちました。

2011.01.05

「日配」更新<事例5>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

<事例5>
同一配偶者との再婚を理由に更新許可を求めた事例。
居住地:東北地方
掲載意図:
本事案は当職において、入管申請書類の作成や取次を行ったものではありませんが、日本人の配偶者等の在留期間更新許可申請をなしたところ、事例4と同様に、質問書の提出を求められたとのことなので、その類似性から、ここに掲載することにしました。
事案概要:
タイ国籍の女性Aは、日本人の夫Bと婚姻し、2003年12月に日本人の配偶者等の在留資格で上陸し、以後、同資格にて在留期間3年を認められていました。在留期限は10年12月でしたが、それ以前の09年8月に協議離婚が成立しました。その離婚は当事者双方の本意ではないと言います。再婚して日本での在留を継続したいとのことで、再婚の手続についてご依頼を受けたわけです。
再婚手続の原則:
本来ですと、ごく大まかに記しても、
タイの離婚証明書・独身証明書・住居登録等の取得→日本の婚姻届→タイの婚姻証明書等の取得→入管への申請。
という手順になります。細かく言いますと、両国外務省・大使館による離婚・改姓・婚姻関係書類の発給申請や認証手続・翻訳、パスポートの申請や外国人登録の手続など、細々した処理が山積されています。煩雑極まりありませんし、在日タイ大使館に相談すれば、上記のような原則論を押し付けられるのは当然と思われました。
例外的な通達の存在:
2009年、本件とは別途に、タイ人女性が入管に収容中である案件に関して、次のような通達がある旨の情報を得ていました。
「タイ人女性Aと日本人男性Bが双方の国で婚姻届をなしたうえ、日本でのみ離婚届を提出し、タイ側離婚届をなしていない状態で、Aが、別の日本人男性Cと再婚するにつき、添付書類として、AB間のタイの婚姻証明書、Aの出生証明書及び住居証明書をもって、婚姻届を提出することができる。この場合、市役所限りではなく、法務局への受理照会の上、婚姻届を受理することとなる。」
本件への適用:
本件では、Aが収容中というような緊急やむを得ない状況ではありません。一方、離婚した夫Bと再婚する夫Cは同一人であるという特殊性があります。担当市役所及び法務局の意向を確認したところ、上記通達を是認したうえで、①タイ国婚姻証明書(タイ語原文と英訳のセットに外務省認証及び日本語訳)、②住居登録(前同)、③申述書、を添付して市役所限りで婚姻届を受理する、との回答を得たものです。
入管への申請:
入管申請に関しては相談を聞いているのみですが、事例4と同様に、離婚成立によって速やかに帰国するか他の在留資格への変更を求めるべきであったと思われます。しかし、そうせずに、在留期間更新許可を申請したいというのが当事者の希望でした。
離婚・再婚の当事者は同一ですが、本件もやはり、新たに日本人の配偶者等の在留資格を決定する場面になりますので、質問書の追加を求められたということでしょう。
離婚届の提出により、過去7年の在留履歴がリセット扱いになったものと想像します。
入管の審査結果は、更新許可1年であった、とのことです。

「日配」更新<事例4>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

<事例4>
前夫と離婚し、現夫との婚姻を理由に更新許可を求めた事例。
居住地:東京都
入管:東京入国管理局(本局)
申請時期:2010年11月
事案概要:
タイ国籍の女性Aは、日本人の夫Bと婚姻し、2008年12月に、日本人の配偶者等(1年)の在留資格で上陸しました。しかし、滞在1年目からBが倒産するなどして夫婦関係がギクシャクするようになり、2009年からC(2010年に後夫となる)に身の上話を相談するなどしていました。
09年11月、AとBはこのまま日本に居住し夫婦関係を維持するのかどうか熟慮する意図で更新許可1年を得ました。しかし、夫Bがタイへの移住を決意する等、Aにとっては受け入れられない事態となり、2010年4月に協議離婚が成立しました。
それと相前後してAとCが交際するようになり、離婚成立後の同年6月からAとCは同居生活に入りました。
待婚期間を経過した同年10月にAとCの婚姻が成立しました。この際、Aのパスポートは、婚姻前の実父姓のものを用意しました。
在留期限前に本国の婚姻証明書も用意できましたので、これも添付して在留期間更新の許可を求めました(本国婚姻証明書が作成未了の場合は、申請後に追完する予定でした)。
主な添付書類:
登録原票記載事項証明書、外国人登録証明書写し(前夫Bとの婚姻中のもの、離婚後の実父姓のもの)、B姓のパスポート、実父姓のパスポート、タイ国婚姻証明書(以上、Aのもの)。戸籍謄本(Bのもの)。戸籍謄本、住民票、在職証明書、都民税特別区民税課税納税証明書、身元保証書、パスポート写し(以上、Cのもの)を提出しました。
理由書等:
質問書(http://www.moj.go.jp/content/000007383.pdf)とスナップ写真多数を提出しました。
なお、質問書は、在留資格認定証明書交付申請(いわゆる呼寄せ)において使用する予定で設定されていますので、署名者及び一人称は、日本人配偶者Cとなります。その点は、本事案でも同じですが、外国人本人が日本に在留中に更新許可申請をなす場合、理由書を添付するとすれば、その作成者は外国人本人となるのが通例です。そこで、入管の意見を聞き、質問書末尾の署名はCがなすこととし、質問書2葉目の経緯の部分を「婚姻に至る経緯書」として独立させ、その末尾に作成名義人となるCと、連名で外国人本人Aの署名を記載しました。なお、別途、外国人本人A名義の理由書を添付するもの1つの方法でしょう。
申請理由として留意すべき点:
Aは、前夫Bとの離婚により、日本人の配偶者等の在留資格該当性を喪失したものと見られます。よって、離婚後相当期間内に帰国するか、速やかに他の在留資格への変更を申請すべきでした。本件のAには、変更すべき在留資格は見当たらず、入管法の基本どおりであれば帰国するしかなかったでしょう。
つまり、入管法の定める原則からすると、離婚→帰国→再婚→在留資格認定証明書交付申請→査証申請→再来日、という手順を取るべきところ、離婚→再婚→在留期間更新許可申請、という特例的な手続を取ったことになります。
この点を含め、本事案の陳述内容として、以下に留意すべきでしょう。
・ 前夫Bと離婚するに至った詳述な経緯。
・ 前夫Bとの離婚後速やかに在留資格変更申請もしくは帰国の手続を取らなかったことに対する謝罪の文言。
・ 離婚成立後も帰国しないで、日本に在留を続けた理由。本件においてこれに相当するのは、後夫Cとの交際及び同居の事実。
・ 前夫Bとの離婚前から、後夫Cとの交際があった事実(真実であり、かつ、入管の指導によって記述した部分ですが、いわゆる不倫ではないことを注意深く説明すべきでしょう。)
審査の結果:申請後2週間で許可証印受領。更新許可1年を付与されました。

「日配」更新<事例3>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

<事例3>
夫と別居し婚姻関係の修復は困難かと思われるが、子の親権や離婚条件を巡る訴訟等を前提として更新を希望した事例。
居住地:栃木県
入管:東京入国管理局(本局)
申請時期:2010年10月
事案概要:
タイ国籍の女性Aは、日本人男性Bと婚姻し、日本人の配偶者等(3年)の在留資格を有していました(前回の更新許可は2007年10月)。
婚姻及び初来日から12年を経過しており、AとBの間には、日本国籍を有する小学生の長男Cと長女Dがあります。
1998年の初来日後、夫Bのほか、子C・Dを含む安定した婚姻生活が7年ほど継続したようですが、2005年8月に在留期限を徒過し、06年11月に在留特別許可を得るまで不法残留の状態でした。08年11月に、夫Bや子C・Dと別居するに至っております。つまり、在留特別許可から別居まで2年しか経過していない点で、厳しい審査になるであろうと推測されました。
添付書類として、外国人登録証明書写し、在職証明書、市県民税非課税証明書、給与明細書(以上、Aのもの)、戸籍、住民票(以上、B・C・Dのもの)、身元保証書(会社同僚のもの)を提出しています。なお、Aの滞在費支弁方法は本人負担であるところ、所得証明書では自活できないほどの低収入であり、その点も不安要素でした。
これ以外に、いわゆる理由書に相当するA本人名義の「生活状況の報告及び在留を希望する理由」と題する書面を添付しています。後記ご参照ください。
申請方針として、子C・Dの親権や離婚に伴う財産分与や慰謝料請求のための示談交渉や調停・訴訟を前提に更新を希望した事例と言えます。本申請時点で、訴訟や調停は、現実には係属していません。
審査の結果:
申請後4週間で証印受領。更新許可1年を付与されました。(2010年7月の新制度移行後、当職取次による東京本局永住審査部門での更新又は変更案件で、許可証印受領まで規定どおり4週間を要したのは本件のみです)。
本事案の検討:
本事案は、夫婦間に実子がある点で<事例2>に似ているように見えますが、事例2においては、夫とは別居だが実子とは同居の形態を取っているし、婚姻・在留継続期間も長く、仮に離婚しても定住者の在留資格を付与される可能性が高いと言えます。
一方、本事案では、初来日後7年ほどの安定した婚姻生活があったとは言え、在留特別許可から別居まで2年しかなく、かつ、実子を引き取って養育してもいませんので、このまま実子を手元で養育することなく離婚しますと、定住者の在留資格を付与される可能性は低いと想像されます。次回更新においては、本申請と同様の内容で良いとは考えておりません。

(申請人A名義)
「生活状況の報告及び在留を希望する理由」
2007年10月○○日に在留期間更新許可をいただいた以降の生活状況と、今後、日本での在留を希望する理由を以下のとおり申し述べます。
1.私は、2008年11月○○日に夫Bと別居しました。
主な理由は、夫から度重なる暴力を振るわれ、また、生活費を渡してくれないこと、夫Bは近くに住む実父母の言いなりで、子供たちの養育のことなど私の希望を全く耳に入れてくれないことです。夫Bは、栃木県H町所在のH社(上場企業関連)でエンジン開発に関わる仕事をしており、生計は厳しくないのに、生活費を預けてくれない点がトラブルの元になっていました。
2.私は、夫Bと別居後、栃木県O市でタイ料理店の経営を始めましたが、世の中が不景気で店舗経営は上手く行かずに閉店しました。
2009年5月末に現在の居住地である同県M町に転居して、同年11月から同県M市所在のキノコ関係の事業所 Mに勤務するようになりましたが、給与があまりに低額なので2010年8月で退職しました。
同年10月には、現在の勤務先T工業所(プラスティック加工)に就職しました。在職証明書に給与月額11万円とありますが、残業などを入れると15万円程度を見込めます。
3.夫Bとは1998年4月の結婚以来12年以上が経過しています。しかし、上記のように暴力や生活費のこと等を改めてくれない限り、夫婦関係の修復は難しいかと考えています。夫Bとは、離婚する方向で話合いをしていますが、離婚に伴う財産分与及び慰謝料、長男Cと長女Dの親権や養育費について、協議が纏まらないかもしれません。夫Bとしては、本心よりも父母の顔色が気になるのだと思います。
金銭的なこともありますが、私としては、どうしても、CとDの親権を得て2人の子供たちを引き取り、私とC・Dの3人で日本での生活を開始したいと強く希望しています。子供たちのどちらか一方だけと言われても選ぶことはできません。
子供たちと一緒の生活を取り戻すためには、家庭裁判所に訴えて出ることも辞さない覚悟です。
4.私は、何も日本に在留したいために、形だけ裁判だなどと口に出しているのではありません。子供2人を引き取りたいのが真意なのです。子供たちは既に日本の市立小学校へ通学していますから、仮に、子供たちを引き取ったとして、タイでの生活を新たに開始するのは難しいと思います。
以上①夫との離婚協議及び状況によっては離婚の裁判のため、②離婚成立後に、子供たちを引き取って、子供たちと日本で生活をするため、本申請をお願いすることにしました。
2010年10月○○日
申請人A(署名)

「日配」更新<事例2>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

<事例2>
夫と別居し、既に婚姻関係は破綻しているが、日本国籍を有する長男の行く末を案じて、在留を希望した事例。
居住地:茨城県
入管:東京入国管理局(本局)
申請時期:2009年6月(2010年6月にも同旨の依頼を受けました)
事案概要:
タイ国籍の女性Aは、日本人男性Bと婚姻し、日本人の配偶者等・3年(2009年6月の依頼時点にて)の在留資格を有しており、18年の在留歴があります。
また、日本人の夫Bとの間には、高校生の長男Cがあります。
Aは、夫Bと2年ほど前に別居しました。居住地は夫Bとは別、長男Cとは同じになっています。
婚姻破綻の原因は、夫Bが女装を好み、やがて女性への性転換を希望するようになったことです。
別居時点で離婚届を提出し、日本人の実子を養育する者としての「定住者」への在留資格変更を求めるべきであったと思われましたが、長男Cが可哀想だとの理由で離婚届の提出は見送っています。
Aは無職・無申告で、滞在費支弁方法は本人負担であり、預金により生活していると述べたので、預金通帳を提出しました。この点、入管の受付段階ではクレームめいた発言がありました。少々心配でしたが、最終的には問題にはなりませんでした。
申請理由の主点は、以下のような趣旨でした。
「長男Cは、茨城県S市にあるN高等学校に通学しています。私の心配事は、Cの行く末です。私は、日本での在留歴が長いですし、せめて、Cが高校を卒業し、社会人として生活できるようになるまで、日本でその成長を見届けたいと思っています。」
本件でも、訴訟や調停は係属していません。
審査の結果:
申請後10日ほどで葉書受領。当時としては審査に時間が掛かったほうでした。
更新許可1年を付与されました。
2010年6月にもほぼ同旨の内容で申請し、更新許可1年を付与されました。

「日配」更新<事例1>

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

<事例1>
現夫との婚姻関係破綻後、離婚の条件を決定し、かつ後夫となるべき男性との再婚を前提とする事例。
居住地:茨城県
入管:東京入国管理局(本局)
申請時期:2009年11月
事案概要:
タイ国籍の女性Aは、日本人の夫Bと7年の婚姻歴があり、日本人の配偶者等(3年)の在留資格で在留中、夫Bの浪費等が原因で婚姻破綻しました。追って、更新申請の時点では、別の日本人男性Cと同居生活を送るに至っていました。
市役所が行っているボランティア相談などにより、定住者への在留資格変更など複数の選択肢があることがわかったとのことでしたが、現夫Bとの間の「離婚に関する条件の決定や裁判手続のため」、日本人の配偶者としての更新申請を選択したいということでした。
添付書類として、A本人の外国人登録証明書写しのほか、現夫Bの戸籍、住民票、市県民税課税証明書(なお、同納税証明書は居住地市役所の扱いで配偶者からの請求を認めないため添付していません)、同居人Cの身元保証書、戸籍、住民票、在職証明書、市県民税課税証明書、同納税証明書、旅券写し、身体障害者手帳(なお、Cの収入は健常者と同等以上です)を提出しました。
他に、いわゆる理由書に相当するA本人名義の「生活状況及び在留を希望する理由について」と題する書面、Cからの「上申書」を提出しました。
後記ご参照ください。
なお、訴訟や調停は、現実には係属していません。
審査の結果:
申請後5日目に葉書受領。更新許可1年を付与されました。
2010年に入ってから、夫Bとの協議離婚が成立したと報告がありました。結局、Aは、Cとは再婚せず、祖国の老母を介護するため帰国の道を選んだようです。

(申請人A名義の理由書)
東京入国管理局 御中
 「生活状況及び在留を希望する理由について」
1. 私は現在無職です。夫から生活費の援助も受けておりません。
また、私自身については、申告もしていませんので、非課税証明書も取得できないということです。
夫の市県民税課税証明書については、茨城県H市役所の取扱いとして、妻である私から請求できるとのことですので、御局に提出します。同納税証明書については、同市役所の取扱いとして夫からの委任状がないと請求できないということであり、下記のような状況から夫の協力が得られませんから、御局に提出することができません。
2. 私と夫は、1年以上別居しています。
直接的には、私の祖国の母が脳溢血に倒れたため一時帰国した08年9月○○日の出国以来、夫とは一緒に暮らしていません。日本に再入国したのは、09年10月○○日のことで、その際にも夫の元には戻りませんでした。
3. 夫は、私と同居生活を送っているころから、タイスナックに日常的に出入りし、ホステスの女性たちに惜しみなくチップを渡して生活に困窮するなど、家庭を顧みない人でした。夫は自営業ですが、市役所の課税証明書(所得証明書)に記載されているより、ずっと多額の収入があるはずです。ですが、夫が私に渡してくれるのは、1ヶ月に3万円だけで、その金額で生活していけるものではありませんでした。
夫は、ホステスなどお店の女性のほか、現在、特定のタイ人女性と交際しているとのことです。
4. 上記のような夫の浪費癖や不貞行為を主な理由として、上記2の私の一時帰国までの間に婚姻関係は破綻していきました。
5. 夫には、土地や家屋といった自己資産があるほか、所得証明書に記載された以上の収入があるはずです。
夫とは、近々、離婚する方向で話が進んでいますが、資産・収入のある夫なのに、離婚による財産分与や慰謝料の話には全く耳を貸そうとしません。
私としては、離婚に関する条件面を夫と協議し、なお、その協議が不調であれば、家庭裁判所へ調停や訴訟の手続を取りたいと思っています。
6. 以上のように、夫との婚姻関係は、現在、破綻していると言えますが、離婚に関する条件の決定や裁判手続のため、日本人の配偶者として、1年間の更新をご許可願いたく、この申請をしたいと思った次第です。
7. 現在、私は、日本人男性C氏と同居し、生活面の面倒を見てもらっています。C氏の上申書にあるとおり、C氏とは7年ほど前からの知人であり、08年9月の一時帰国前後から、将来の結婚を約束するようになっております。夫との離婚が正式に成立して待婚期間が過ぎた時点で、C氏と再婚したいと考えています。
なお、C氏は聴覚障害者ですが、私が手話を覚えたので日常の意思疎通に支障はありません。また、C氏と一緒に居ない時間帯は、日本語による携帯電話メールにて、連絡を取り合っております。
8. 今般の申請や私の置かれた立場について、M市のボランティア相談員からは、定住者への変更許可申請もある、と教えられました。また、タイ人に詳しい行政書士に相談したところ、仮にC氏と再婚するにしても、在留期限内に帰国するなど複数の方法があることを示唆されました。
それら複数ある選択肢の中で、夫Bとは別居中ではありますが、離婚協議のため、このまま在留を希望したく、この申請をお願いすることに致しました。
2009年11月○日
申請人 (申請人Aの署名)

(身元保証人C名義の上申書)
東京入国管理局 御中
 「上 申 書」
申請人Aの在留期間更新許可申請について、次のとおり上申します。
1. 私は、茨城県N市に居住する「C」と申します。聴覚障害者ですが、同県Hi市にある会社に勤務し、生計を維持しております。
2. 私は、今から約7年前に申請人のAと知り合いました。当時、AはHo市所在の「L・S」というタイスナックに勤務しており、私はそこの顧客として同店舗を訪れ、知り合ったものです。
3. 当時、Aは特定の男性とは交際していませんでした。私は、Aとお付き合いしたいと思いましたが、聴覚障害の点もあり、このころは、スナックの店員と顧客以上の関係に発展しませんでした。
4. その後、Aは、現夫のB氏と婚姻し同居生活に入りました。
ところが、数年後、B氏の浮気などが原因で、夫婦仲が悪くなったと聞いていました。
5. 08年9月には、Aの実母が病気でタイ国へ一時帰国するというので、私も同行し、Aの家族とも会って、AとB氏が離婚するような事態になった場合は、私と再婚してもらいたい旨、了解してもらっております。その後、数回、タイ国へ渡航してAやその家族と会い、相互に理解を深めております。
6. Aは、09年10月○○日に日本に再入国し、同年11月○日から、私と同居するようになりました。生活費などは私が支出しております。
私は聴覚障害者ですが、Aが手話を覚え、また携帯電話でのメール操作を覚えてくれたので、意思疎通に問題はありません。Aは私宅で家事を綺麗に処理してくれるのでとても感謝しています。
AとB氏の間では、離婚争議中とのことですが、正式に離婚が成立しましたら、早急に私と再婚して欲しいと思っています。
7. Aの日本在留中は、私が、身元保証人となり、法令を遵守させ、生活費、帰国費用などを負担しますので、Aの希望どおりの本邦在留ができますよう、上申する次第です。
2009年11月○日
住所 (申請人Aに同じ)
氏名  Cの署名押印

「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請に関する事例

極めてポピュラーな「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請ですが、婚姻関係の破綻などにより別居中である事案や、離婚と再婚により実質的には新規に日本人の配偶者としての在留資格を決定する申請であったりすることもあります。
ここには、2009年から2010年に掛けて取り扱った、少々レアなケースや限界事例を掲載してみたいと思います。
永住者の妻として在留していたが、永住者(夫)と婚姻破綻した事案(下記の5)
http://www.yshimada.com/yybbsplus/yybbs.cgi?mode=new_html&no=39
とも類似性があると思われます。
なお、この項目に記載する<事例1>から<事例5>は、すべて「日本人の配偶者等」の在留資格を持つタイ国籍の女性と日本人男性の夫婦の案件です。