2020.03.22

2020年3月 許可事例

本日、下記3件の許可事例を入管の決裁順に掲載します。
私の取り扱い事例としては、就労審査第一部門に属する申請が多い中、なぜか、永住審査部門に属する申請ばかりとなりました。申請内容の慎重な検討、深い思慮を要する事案は、永住審査部門にかかる申請が多いということなのかもしれません。また、申請自体は、出張所へ出して何の問題もないことが良くわかると思われます。
総体所感ですが、入国審査官と話をしていると「立証」という言葉を頻繁に使われます。行政書士業務で立証に関わるのは、入管等の渉外案件だけかもしれません。

難民認定中の特定活動から定住者への変更許可

申請人は、スリランカ国籍、男性、20歳代、茨城県在住。
2017年2月、短期滞在で来日後、間もなく、難民認定申請をし、特定活動の在留資格(6月)を付与され就労許可もされていた。
2019年10月、茨城県内に居住するフィリピン人女性(定住者1年)と日本式婚姻をなし、同月中に在東京フィリピン大使館に婚姻報告を完了した。スリランカには、本国に帰国しないと婚姻手続ができないとして届出未了。ただし、日本式婚姻をするに際しては、在東京スリランカ大使館での婚姻要件具備証明書関係書類(宣誓供述書)に本人自らの署名等の手続がなされていた(難民を主張しながら自国の大使館を頼ったことになる)。
申請準備中に、フィリピン人妻が妊娠した。この妊娠は、婚姻信憑性・安定性を高める意味では効果的であったが、一方、身元保証という意味では妻以外の人物で高い保証能力のある者を探す必要に迫られることになった。妻からの身元保証書のほか、実質的に家計を負担してくれそうな身元保証人として妻の父(フィリピン国籍、永住者)を候補としていたが、同人が、病気のため低収入・税金未納多額のため永住者である父の友人を身元保証人とした。
私は、難民認定申請は虚偽のものではないか、取り下げてもらえないかと再三促したが「弟も同じ手続をしている、そちらにも影響してしまう」と助言を拒否。難民認定申請は継続審査のまま、2020年1月下旬、当職取次で、定住者への在留資格変更許可申請(定住者告示第五号ロ)を行った。
同年3月中旬、定住者1年への変更許可(東京入管宇都宮出張所)。
所感;
私としては、難民認定申請は決して勧めないし、また、今後とも難民認定中の特定活動の者の申請を取り扱いたくはないと考えている。本件でも変更許可後に難民認定申請を取り下げる必要があり、なお、変更許可時点で、指定書(本邦の公私の機関に雇用されて行う報酬を受ける活動で、風俗営業を除くとの就労許可の旨の記載あり)がキャンセルされている。定住者には就労制限がないからである。
婚姻の信憑性と妻の妊娠などの人道上やむを得ない事由を考慮されたものと思われる。
申請時点において、在留状況が不安定であるから、次事例に比べて身元保証人は実質的な内容を要求される。
許可後の在留状況は、次事例より安定的である。

日本人の配偶者等の更新許可

申請人は、スリランカ国籍、男性、20歳代、茨城県在住。
技能実習2号で在留中に日本人女性と婚姻し、技能実習修了後の2019年1月、当職取次にて日本人の配偶者等1年への変更許可を受けていた(東京入管本局)。
2019年の年末近くになり、申請人から「妻がどこにいるのかわからない、それでも更新手続をしてほしい」との依頼を受けた。
調査したところ、申請人が一時帰国中の2019年9月、妻は神奈川県に転出していることが判明した。2019年の年末から2020年1月ころには、申請人と妻は、ラインを用いてたまに連絡し合う(妻が遊興費の振込みをせがむ)程度の関係になっているとのことであった。
申請人としては、妻との間を修復したいと希望しているが、現在別居中であることを明記し、2020年1月、当職取次にて在留期間更新許可申請をなした(東京入管宇都宮出張所)。
同局から当職に電話があり、妻と話をしたいとのことであったが、申請書添付の理由書に記載したとおり、妻はラインしか通じない、携帯電話会社との契約がない状態であり、そもそも前年の変更許可申請書に記載したように妻は申請人宅に転居してくる前は住民票のない人物であった旨を説明した。それ以外に追加資料等なく、同年3月上旬、更新許可1年とされた。
所感;
こういうケースの場合、在留期間6月が付与されるものと想定していたが、別居の原因(帰責事由)が妻にあることが配慮され、1年の付与とされたものと思われる。
本人に独立生計能力が備わっているので前事例に比べて身元保証人は形だけでよいと判断した。しかし、許可後の在留状況は前事例より不安定であるから、今後の在留をサポートする必要性がある。

定住者告示6号の在留資格認定2件(兄弟)

群馬県在住のスリランカ国籍の夫(日本人の配偶者等3年)とその妻の日本人から、スリランカ国籍の夫の実子2名(長男2001年2月生、二男2004年7月生)の認定を依頼された。
2019年12月、当職取次にて東京入管宇都宮出張所へ認定申請(定住者告示第六号ニ)。
申請段階で、在日家族(申請人両名を加えた)の生計・資産関係については厳密な立証をした。
来日後の進路については、長男は都内のNPOが主催する日本語教室への通学、二男は地元中学校への編入であった。二男については、地元教育委員会との話もできており詰め切れていたが、長男の進路については詰めが甘いという感想を持っていた。
2020年2月、東京入管本局から追加書類の要求があった。
① 長男の扶養計画について
② スリランカ国籍の夫(父)が親権を有する事実
③ 父子交流について
これらのうち、
①については、やはり来たか、という思いがあった。依頼者夫婦に申請時よりもっと適切な日本語学校等を探してもらったところ、住居地の隣町の日本語学校が受け入れを表明してくれたとのことで、当該学校のパンフレットと担当者の名刺を提出した。入学許可証を提出したかったが、本人の来日と入学金の納付が先だと言われ、その点は断念し、その旨、理由書に記載した。
②については、実母のAFFIDAVIT(宣誓供述書)を提出し、その抄訳を理由書に記載した。内容は、申請人両名の親権を父親に任意に引き渡す、とのことであった。
③については、申請時点でそれなりに提出してあり、なぜまた追加要求してくるのか判然としないところもあったが、スナップ写真と送金証明書を追加で提出した。
これら追加資料を提出して10日ほど経過した3月上旬、両名とも認定交付された。
所感;
本邦家族の生計の点、父子交流の点については、十分考慮した上での申請であった。来日後の進路(扶養計画)も同様に具体的に立証すべき項目である。そのほか、他の件でも同様なところがあるが、昨今の永住審査部門では、親権の立証を求めてくることが多い。追加資料②についてであるが、これは本国の親族法がどのような規定になっているかによって大きく左右される。その点を調査していて判明したのだが、本国法では18歳で成年となる、とあった。申請人長男は19歳に達している。告示6号を認めたのはどうしてか。

2019.08.25

日本人の実子

1、在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者(妻または夫)を意味する事例が多いのですが、この「日本人の配偶者等」には、日本人の実子(日本人の子として出生した者を言います。帰化人の子にして出生のときに親(帰化人)が日本国籍者でなかった場合は別です)や特別養子も含まれます。
本稿では、日本人の配偶者等のうち、日本人の実子を取り上げます。
2、国籍法第11条1項に「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。」という規定があります。日本人が自分の希望で外国に帰化すると、自動的に日本国籍が無くなる、という意味です。この規定を知らない人が多々あり、国外に居住する日本人向けに、在外公館がWEB上で盛んにこの条文を紹介しているようです。この規定によって、日本国籍を喪失する方々には、社会的地位の高い人、高学歴者や学者、ノーベル賞受賞者なども多々含まれています。
3、本稿で取り上げる方も、ご自身の意志で北米の国籍を取得したため、上記の条文により、日本国籍を喪失されました。在アメリカ合衆国日本国大使館のサイトを下記に紹介しますが、
https://www.us.emb-japan.go.jp/j/kokuseki/k_soushitsu.html
この規定により、日本国籍を喪失したことを知ったときから、3ヶ月以内に、国籍喪失届を提出するように案内されています。遅滞すると、過料の対象にもなります。
国籍喪失届を提出しますと、戸籍が消除され「除籍」となります。
なお、事案により、他国に帰化後(すなわち日本国籍喪失後)、戸籍の変動(婚姻、離婚、子の出生等)がありますと、戸籍訂正許可の家事審判(行政書士業務外)を経て、戸籍簿を、本来あるべき姿に直す必要が生じる場合があります。
4、本件のご相談者は、北米の国籍を取得され、まだ、国籍喪失届を提出されていなかったので、すみやかに、国籍喪失届を管轄の領事館に提出することをお勧めしました。一般に、在外公館に戸籍届を提出しますと、戸籍簿に届出内容が反映されるまで、2~3ヶ月を要します。
5、本件のご相談者は、母上が東京入管の管内にお住まいであることがわかりましたので、母上を申請代理人とし(入管法7条の2第2項、規則別表4)、母上のご住所を連絡先として、東京入管に在留資格認定証明書交付申請(在留資格:日本人の配偶者等)をなすことにしました。日本人の配偶者等の在留資格は、英語で Spouse or Child of Japanese National であり、日本人の実子と特別養子も同在留資格に該当します。なお、本稿では、ご本人が(普通)養子である場合については触れません。
6、本件の問題点は、ご相談者が、北米の国に帰化したとしても、日本国籍が自動喪失になるという上記の条文をご存じなかったことにあります。かつては、在米弁護士がWEBで、日本人がアメリカに帰化した場合は重国籍になる、と誤った情報を喧伝していたこともありました。
このような状況下で、ご相談者は、他国に帰化後、日本パスポートで数回来日してしまった事実があります。この事実は、不法入国として入管法に抵触し、場合によっては旅券法にも違反することがあります。こういった不法入国の履歴等も、正直に入管当局に伝えるべきです。なんとなれば、入管当局が、日本人としてあるいは外国人として、来日した履歴を全部把握していると考えるべきだからです。このご相談者の場合は、日本パスポート以外に外国パスポートでも来日されていますから、個人識別情報の提供(指紋や虹彩)のデータも把握されています。
外国に帰化後に日本パスポートで来日していた事実は絶対に隠してはいけません。また、私ども入管申請取次者としてのコンプライアンスにも関わる問題です。
7、上記のほか、日本での生計維持等の状況も立証し、在留資格認定証明書交付申請書を東京入管へ提出したところ、1ヶ月未満で認定交付されました。
8、同様に、日本人の実子が北米の国に帰化し、かつ、日本パスポートで来日してしまっているとのご相談もありました。こちらは、ご本人がまだ小さいお子さんです。親御さんが、上記の国籍法の条文をご存じなかったのです。このケースでは、不法入国者として、在留特別許可を求める以外に良い方法がなく、広島入管に出頭していただき、無事、在留特別許可を得ておられます。
ただし、外国に帰化後、在留特別許可までの間は、不法滞在者となりますので、その間の公的扶助等はすべて返還するように求められたそうです。
9、このように、突然「あなたは日本人ではありません」と言われた方には、相当なショックがあるでしょう。こういったご相談件数は決して少なくなく、しかし、途中で放置してしまわれるようなケースも散見されます。
解決策は必ずありますから、怖がらずに一度、ご相談ください。

2019.08.24

戸籍に記載されない日本人の嫡出子

国籍法第12条に「出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。」との条文があります。戸籍法104条は、その期間を3ヶ月以内と定めていますから、要するに前記国籍法の要件と合わせて、子の出生から3ヶ月以内に国籍留保届を提出しないと、出生時に遡及して日本国籍を喪失することになります。つまり、日本人の嫡出子にして、戸籍に登載されない子が多数存在するのです。こういうケースは、国際結婚家庭に多く発生しますが、日本人同士の夫婦間の子であっても、例えば、アメリカ(国籍生地主義)で子を出産すると、同じ法理により、日本国籍を喪失し戸籍に載らない嫡出子、という事案が発生します。下記のサイトですと、「2.出生子の日本国籍喪失にご注意下さい。」の部分です。
https://www.la.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/m03_04_38.htm
結局、戸籍を頼りに相続人を確定させる作業をしていると、必ず、相続人の「漏れ」が生じるのです。
これが非嫡出子であれば、認知届は日本人の戸籍に載ります。こういう矛盾は昔から指摘されているところで、ある意味、私ども国際結婚者の間では常識と言えます。
今般、相続法の改正がありました。法改正があったからこそ、前々から問題になっている「戸籍に載らない嫡出子」について、何らかの手当をしてほしかったし、また、相続実務を取り扱う人たちの認識を改めてほしいと感じた次第です。

個人識別情報

2007年11月20日から個人識別情報の提供が開始されました。それ以降の入国については、入管がすべて把握していると考えるべきです。

2018.11.27

在留資格取得許可

外国人夫婦間の子が日本で出生した場合などに申請する在留資格取得許可申請に関する資料です。
http://www.yshimada.com/nyuukanshoshiki.htm#2
上記サイトの「在留資格取得許可 東京入管新様式 2018.11.27」からPDFファイルを開いて下さい。質問書と旅券未取得理由書はこちらの様式をお使いください。

2018.04.09

相続案件など

現在は、外国人の在留関係業務(ビザ)の仕事のほか、相続や遺言の案件、会社設立などのご依頼も多くなっています。順次、このサイトにアップしてまいります。
各位のご参考になれば幸甚です。

申請取次行政書士管理委員

平成29年6月21日から、栃木県行政書士会申請取次行政書士管理委員を務めております。4月は入管取次の新規申出者が多く、いささかパワーを使いそうです。

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