2012.04.28

オーバーステイ20年以上の方

オーバーステイ20年以上もしくはそれに近い年数の方は、在留特別許可が受けられる可能性があります。
ご相談を承りますので、メールもしくは電話にてご連絡ください。

2012.04.20

在留特別許可関係書類

いわゆる在留特別許可案件に関する書式のご紹介です。
不法滞在の外国人が、日本人との婚姻など何らかの人道的事由により、退去強制手続の中で在留特別許可を求め、東京入国管理局調査第三部門(在宅事件担当)へ出頭申告するに際し、提出すべき書類等について、アップロードしました。
下記へアクセスしてご覧ください。
http://www.yshimada.com/nyuukanshoshiki.htm#2
http://www.yshimada.com/images/zaitoku.zip
http://www.yshimada.com/images/zaitoku.lzh
解凍すると全部で5つのPDFファイルが展開されます。
ここに掲載したファイルは次のとおりです。①陳述書、②陳述書記載方法(注意点)、③申告書、④配偶者履歴書、⑤提出書類について
もちろん、これ以外の書類を添付、提出すべき場合もありますので、詳細についてはメールや電話にてお問い合わせください。

2012.03.10

上陸特別許可からの永住許可案件

ご当事者は中国籍の女性です。
概略の履歴は以下のとおりです。
2006年2月 退去強制処分、上陸拒否5年
2006年8月 日本人男性と婚姻届出(双方とも再婚)
2008年7月 上陸特別許可、日本人の配偶者等1年
2009年5月 更新許可、日本人の配偶者等1年
2009年6月 実子を中国から認定にて呼寄せ、定住者1年
2010年6月 更新許可、日本人の配偶者等3年
2010年6月 実子の更新許可、定住者1年
2011年7月 永住許可申請
2011年8月 実子の更新許可、定住者3年
2012年2月 永住許可
(いずれも東京入管本局扱い。BLUEの部分は実子に関する記事)

上陸特別許可から満3年の経過時点で永住許可を申請しました。
法務省が定める提出書類のほか、下記の書類を添付しました。
・住居の概要
・親族一覧
・スナップ写真
・理由書…永住を求めたい理由、日本人夫と実子との3人による生活ぶりなど簡単な記述

若干の感想等
永住許可のガイドラインをクリアしていますが、過去に退去強制処分を受けたことがあり、上陸特別許可から3年という短期間での永住申請はある意味でトライアル的な事案だったかもしれません。
上陸から1年経過した時点で、実子(いわゆる連れ子)を呼び寄せています。この子が、地元の公立中学に編入し、高校へ進学しました。感覚的な言い方になるかもしれませんが、この実子の存在が、夫婦の生活にかなりの安定感を与えた印象がありました。
日本人夫は一般のサラリーマンで、入管が基準にしていると言われる収入はありますが、上場企業とか特段の高収入とか特別な国家資格による職業などではなく、賃貸物件に居住している、いわば普通の人です。
入管の調査としては、許可の結論が出る1ヶ月ほど前に、生活状況や理由書に記載の内容などを尋ねる電話がありました。

ご一家の益々の幸あれと願っております。

2012.02.08

最近の在留特別許可案件

=子の父はだれか疑義が残るケース=
1. インドネシア国籍の男性(A)は、1999年に架空人名義のパスポートを使用して不法入国し、茨城県などで就労していました。
タイ国籍の女性(B)は、日本人夫(C)と婚姻し、一児(D)を儲け、日本人の配偶者等の在留資格から永住許可を得ました。
2. やがて、BC夫婦は金銭的な理由等で不和になり、2008年11月に、Dの親権者をBと指定して協議離婚が成立しました。離婚当時、Bは妊娠中でした。BCは、離婚したもののBには自活力がなく、Bは離婚成立後9ヶ月間(2009年8月まで)、前夫Cのアパートで同居生活を継続していました。
3. BCが離婚した当時妊娠中だった子(E)は2009年5月に出生しました。Eは、BCが婚姻中に懐胎した子(また離婚した2008年11月から300日以内に出生した子)なので、民法772条の規定により、Cの子であるとの嫡出推定を受けます。繰り返しになりますが、BCは、Eの出生後も同居していたのです。
4. 追って、2009年8月、BDEは、Cの家を出て、Aと同居するに至りました。この時点から、ABDEの4名による同居生活が開始されました。
2010年4月中旬、AとBは、茨城県K市役所へ婚姻届を提出し、日本式婚姻を成立させました。同時に、Aは初めて外国人登録を申請しました。
5. 2010年4月下旬、Aは、東京入管調査第三部門在宅事件担当へ自己出頭しました。
その席で、ABは、「Eの血縁上の父はAである」と述べています。
入管は、「Eの戸籍上の父訂正申立てを証明するもの」を追完するよう要求しました。
6. 本件のように、戸籍上は日本人前夫の子となっているが、血縁上は外国人後夫の子である、というケースは、日常的に見かけるほどの多数に上ります。
7. 入管は、「Eの血縁上の父がAならば、そのように戸籍(公簿)も直すべきだ。公文書に本当の父が記載されていなければ、子供が可愛そうだ。」と言い、一方で、当事者のAB夫妻は、「子供がCの子でなくなることにより、日本国籍を喪失するのは可愛そうだ」という言い分です。
8. 親子関係は法が決めるのか、血縁が決めるのか。これについては、その時々の法制度や倫理観などによって、変遷してゆくものでしょう。近年、DNA鑑定が一般化し、「親子関係は血が決める」という考え方が台頭しつつあるように感じられますが、わが国の民法は「親子関係は法が決める。子の親が後年になってから変更されたのでは、子の法的立場が安定せず子の福祉に反する。」という立場に立つものと思われます(特に、民法776条、777条)。
9. さて、入管が要求した「Eの戸籍上の父訂正申立てを証明するもの」について、どう回答すべきか考えました。
ポイントは、一般的な案件とは違い、BC元夫婦が、妊娠当時も、離婚後も、出産後までも、同居生活を継続していた、という点です。
仮に、AがEを血縁上の実子だと思っていたとしても、BCが同居していた事実は、家庭裁判所が一般的に説明する「別居等で妻が夫の子どもを妊娠する可能性がないことが客観的に明白である」には当たりません。
そこで、下記点線以下の上申書と家裁による嫡出否認及び親子関係不存在確認に関する説明(以下「本件説明書類」と言います)を添付して、提出することにしました。
これで、入管がなお「EはCの子ではなくAの子である」旨の書類を要求してくるなら、親子関係不存在確認調停・審判を提起した上、家裁がDNA鑑定の結果、「EはCの子ではない」と審判するならそれもよし。家裁の一般的な説明どおりBCの同居事実等により「EはCの子ではない、と申し立てることはできない」として却下するならそれもよし。と腹をくくって本件説明書類を提出しました。
10. ほかに、BCのインドネシア及びタイ発行の婚姻証明書を追加提出しました。
11. その結果、入管は、以後、本件説明書類に関する言及をせず、この説明を是認した形になりました。
Aにつき、同年7月に仮放免許可、同年8月に在留特別許可により永住者の配偶者等の在留資格を付与されました。
—————–
東京入国管理局 調査第三部門 在宅事件担当 御中
上 申 書
平成23年4月××日出頭(23-○○××)                         出頭申告者 A
 私は上記出頭日において、追加書類として「次女Eの戸籍上の父訂正申立てを証明するもの」を求められました。
 これについて、調査した結果をこの上申書として提出します。
1 Eは、平成21年5月○○日に出生しました。父Cと母Bが離婚した平成20年11月○日から300日以内に出生した子供ですので、資料3にある民法772条の規定により、Cの子供であるとの推定を受けます。
2 EがCの子供ではないとする方法は2つあることがわかりました。
まず、戸籍上の父であるCから裁判を起こす方法ですが、嫡出否認は、資料1や資料3にある民法777条により、CがEの出生を知って1年以内に提起しなければならないとされているところ、出生当時、Cは生母であるBと同居中でしたから、出生日のうちにEの誕生を知っていました。Eの出生は平成21年5月○○日であり、同日から既に1年以上が経過していますから、この裁判を起こすことはできません。
3 次に、EのほうからCが父親でないという裁判を起こす方法ですが、親子関係不存在確認は、資料2にあるとおり「夫が長期の海外出張,受刑,別居等で子の母と性的交渉がなかった場合など,妻が夫の子どもを妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合には,夫の子であるとの推定を受けないことになる」という条件があります。Eの出生は平成21年5月○○日であり、CとBは、平成21年8月○○日まで同居していたのですから(※)家庭裁判所が言う「別居等で妻が夫の子どもを妊娠する可能性がないことが客観的に明白である」とは言えません。よって、この方法によっても、CとEの間の親子関係を否定することはできません。
(※)上記出頭申告日に提出した陳述書中の「8 婚姻について」にも記してあるところです。CとBは、離婚後9ヶ月間、同居していました。同居期間の最後は、現在の居住地への移転日が平成21年8月○○日となっていることから明白です。
以上により、冒頭ご指示の書面を提出することはできません。
これに相違ないので、夫婦連名で署名の上、提出いたします。
2011年6月○○日
出頭申告者 A
妻     B

資料1(家庭裁判所の説明)
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_07_15.html
嫡出否認調停
1 概要
 婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子どもは,婚姻中の夫婦間にできた子(嫡出子)と推定されるため,仮に他の男性との間に生まれた子どもであっても出生届を提出すると夫との間の子どもとして戸籍に入籍することになります。
 この夫との間の子どもであるとの推定を否定するためには,家庭裁判所に対して,夫からその子どもが自分の子どもであることの否認を求める嫡出否認の調停を申し立てる必要があります。この申立ては,民法により,夫が子の出生を知ったときから1年以内にしなければならないと定められています(なお,出生を知ってから1年経過後など,嫡出否認の申立ての要件を満たさないと思われるような場合でも,親子関係不存在確認の申立てによることができるケースもあります。)。
 この調停において,当事者双方の間で,子どもが夫の子どもではないという合意ができ,家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上で,その合意が正当であると認めれば,合意に従った審判がなされます。
※ 婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子の出生の届出の取扱いについて
 婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子のうち,医師の作成した「懐胎時期に関する証明書」が添付され,当該証明書の記載から,推定される懐胎の時期の最も早い日が婚姻の解消又は取消し後である場合には,前の夫を父としない出生の届出をすることができることとされています。詳細については,最寄りの戸籍役場にお問い合わせください。

資料2(家庭裁判所の説明)
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_07_16.html
親子関係不存在確認調停
1 概要
 婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子どもは,婚姻中の夫婦間にできた子(嫡出子)と推定され,仮に他の男性との間に生まれた子どもであっても出生届を提出すると夫婦の子どもとして戸籍に入籍することになります。
 夫との間の子どもであることを否定するためには,原則として嫡出否認の手続きによることになります。
 しかし,婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子どもであっても,夫が長期の海外出張,受刑,別居等で子の母と性的交渉がなかった場合など,妻が夫の子どもを妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合には,夫の子であるとの推定を受けないことになるので,そのような場合には,家庭裁判所に親子関係不存在確認の調停の申立てをすることができます。
 なお,上記のような父子関係不存在のほか,何らかの事情により真実の母親ではない人の子どもとして戸籍に入籍しているような母子関係不存在のケースも,本手続きによることになります。
 この調停において,当事者双方の間で,子どもが夫婦の子どもではないという合意ができ,家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上で,その合意が正当であると認めれば,合意に従った審判がなされます。
 このほか,前の夫の子であるとの推定を受けない子については,子から実父を相手とする認知請求の調停を申し立てる方法もあります。

資料3(法律)
法の適用に関する通則法
(嫡出である子の親子関係の成立)
第二十八条  夫婦の一方の本国法で子の出生の当時におけるものにより子が嫡出となるべきときは、その子は、嫡出である子とする。
2  夫が子の出生前に死亡したときは、その死亡の当時における夫の本国法を前項の夫の本国法とみなす。
民法
(嫡出の推定)
第七百七十二条  妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2  婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
(嫡出の否認)
第七百七十四条  第七百七十二条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。
(嫡出否認の訴え)
第七百七十五条  前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。
(嫡出の承認)
第七百七十六条  夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う。
(嫡出否認の訴えの出訴期間)
第七百七十七条  嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。

2012.02.07

定住者の配偶者である定住者の再婚による更新許可

序. 定住者告示により、定住者の配偶者には、定住者の在留資格該当性があります。
1. 本件の夫(A)は不法残留していたところ、元々、定住者の在留資格を認められていた妻(B)と婚姻して、入管に出頭し、2010年12月、在留特別許可を得て、定住者の配偶者として定住者の在留資格を付与されたものです(なお、ABともに、日本式の婚姻・離婚を認められているタイ国籍者です)。
2. ところが、2011年8月、AB夫婦は詰まらない喧嘩をして、茨城県C市役所に協議離婚届を提出しました。AB揃って市役所に出頭したそうで、協議離婚届の無効を検討する余地はありませんでした。一方で、離婚届に関係なく、ABはC市内にて同居生活を続けていました。
3. 在留期限が2週間ほどに迫ったころ、ABは慌てて在東京大使館に赴きましたが、「日本の市役所発行の離婚届受理証明書に外務省認証を受ける。タイ国の離婚証明書、改姓証明書、独身証明書、改姓後の住居登録の取得。改姓後のパスポート申請。婚姻要件具備証明書の取得」といった、ごく当たり前の手順を踏むよう、勧められたそうです。これですと、短く見積もっても3ヶ月程度を要する
手続になります。
とても、在留期限には間に合いません。
4. こういう場合には、通達があります。
つまり、日本式婚姻→本国側婚姻報告→日本式離婚の順で手続を行った場合、同一配偶者間で日本式に再婚をする際には、独身証明書に代えて本国の婚姻証明書を添付すれば足りる、ということです。
この事案の場合は、本国から、夫婦となる両名につき、婚姻証明書のほかに、住居登録と出生証明書を取り寄せています。
なお、元々この通達は、異なる配偶者間の再婚(X男とY女が日本と本国で婚姻、日本では離婚、本国では婚姻中のままの状態で、日本でY女とZ男が再婚する場合)のために出された通達として理解されています。
それならば、同一配偶者間での再婚なら当然認められて然るべき方法だと言えます。下記、類似記事です。
http://office.yshimada.com/?p=166
5. 本件では、在留期限の前日に本国書類が到着しましたので、C市役所へ本国婚姻証明書などの添付書類と共に婚姻届を提出し、法務局の確認を得た上で、婚姻届受理となりました。
入管へは、婚姻届受理証明書、質問書などを添付の上、在留期間更新許可申請をなし、予定どおりの期間内で更新許可されています。
6. もし、仮に婚姻届が在留期限に間に合わない場合、どういう対処をしたら良いか?
これを、一般的な離婚後の再婚事例と仮定したときに、考え方として、下記の3つが想定されました。
①在留期限日までに、いったん短期滞在に変更許可申請する。
②更新申請を出しておいて、日本の婚姻証明書を追完する。
③出国準備以外にない。
実は、以前に同様の問題がさるネット掲示板で論争になり、私は③を主張したが、①の支持者が多く、言い負けた感じでした。
今般、申請前に、東京入管永住審査部門に婚姻届が間に合わなかったと仮定して、対処法を問い合わせてみました(なお、入管の対応は、再婚配偶者が同一でも別人でも同じです)。
同部門の回答は③で、それも、出国準備期間1ヶ月とし、その期間内のチケットと出国する旨の誓約書を提出すること。取次は可能とのことでした。なお、婚姻成立後に出国準備から配偶者資格への再変更は検討する余地がある、との付言はありました。

2011.10.28

離婚届(協議離婚/裁判上の離婚)

ご存知のとおり離婚が増えています。
当職は昭和58年に家庭裁判所に奉職して以来、行政書士として職務を行っている現在に至るまで、離婚に関する法務について相当数のご相談を承ってまいりました。
夫婦の一方または双方が外国人である場合はもちろん、夫婦の双方が日本人であるケースの離婚案件も多々ございます。
本サイトにおいても、順次、離婚の法務について掲載してまいります。
日本は、世界的に見ても協議離婚を認める珍しい制度の国です。だからこそ、協議離婚届を市区役所へ提出するだけではなく、離婚条件を書面化しておくべきなのです。
・協議離婚をする方針だが、金銭授受などの約束事書面にしておきたい。
・相手が離婚に応じようとしない。裁判にするにはどうしたら良いか?
・協議離婚の決心はついた。しかし、離婚届を出すための証人がいない。離婚はしたいが親族や知人に知られたくない。
協議離婚届の証人になってほしい。
など。
1件5000円からご相談に乗ります。
電話0280-55-0049 または 携帯090-9148-0430 まで。
メールアドレス info@yshimada.com までお気軽にどうぞ。

2011.10.24

出生による在留資格の取得

(序)
日本において外国人の両親から実子が生まれた場合、その実子(出生児)がそのまま日本に在留しようとすれば、出生後30日以内に、入管に対して出生による在留資格の取得許可申請を行わなければなりません。
(永住者の実子が日本で誕生し、出生による永住許可申請をなす場合については本稿では触れません)

出生による在留資格の取得許可申請について、法務省のホームページでは以下のとおり説明されています。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-10.html

(若干特殊な事例)
1 本事例の家族構成は、永住者A、その実子である定住者Bの2人暮らしです。
就労しているのはAのみで、BはAの扶養を受けています。
そこに、Bの実子として出生児Dが誕生したわけです。
 ※A=出生児Dの祖母
 ※B=出生児Dの母、未婚、16歳。「定住者告示6号イ」に該当。

2 出生児Dの母Bは、昨年秋の一時帰国の折、来日前に交際していた男性Cと再会して妊娠するに至りました。
Cには、来日歴がありませんし、在留資格もありません。
本事案は、出生児Dの在留資格取得案件です。
出生児Dは、定住者である母Bの未成年未婚の実子ですが、Bは無職であり、「定住者の扶養を受けて生活するもの」ではないので「定住者告示6号ロ」に類似するものの、これに該当しないと思われます。
出生児Dを永住者Aの養子にする方法を除くと、厳密にはDは定住者告示に該当しないことになります。

3 本事案については、申請前に、申請書と質問書の記載方法について、東京入管永住審査部門の意向を聞いてみました。
その回答として、
在留資格取得許可申請書
http://www.moj.go.jp/content/000049215.pdf   及び
質問書
http://www.yshimada.com/images/shutokushitsumon.pdf
のうち、
・15欄の身元保証人=永住者祖母Aを記載する。
・16欄の法定代理人=16歳の母Bを記載する。
・質問書の署名者欄=同上
・質問書の「申請人の父」=出生児の血縁上の父Cにつき、わかる範囲で記載する。公文書によらずとも良く、出生届記載事項証明書の父欄が空欄でも可能限り記載すべきだ、とのことでした。
また、当職の判断で、質問書別紙として、いつどこでどういう経緯で妊娠したのか記載した書面を提出することにしました。
なお、審査結果の見込みとしては、「未成年未婚の実子でやるようです」との言い方で、つまり、定住者告示6号ロを準用し、出生児Dに定住者を付与する予定であるとのことでした。

その他の添付書類は、出生児Dの出生届記載事項証明書(父欄は空欄)と外国人登録証明書となります。当職としては、念のため、母Bと身元保証人である祖母Aの登録原票記載事項証明書を添付しました。
なお、在職証明書や収入・納税関係書類は添付の必要がありません。
在留資格取得許可申請書中、14欄で母Bの「勤務先・通学先」を記載することになりますが、仮にBが無職でも、厳密にはBがDを扶養するのかどうか記載する欄は存在しないことになります。

4 証印の受領
本件では申請後1週間で葉書が届き、2週間以内の証印受領を指示してきました。
収入印紙は不要です。
証印受領時には、葉書、申請受理票を提出するほか、旅券(パスポート)をどうするか、ということになります。
出生児Dが旅券(パスポート)を所持していれば、これを提示して証印を受けることになりますが、Dの国籍の属する国の在日大使館の処理方法によっては、『出生後30日以内に許可申請をなし、申請後2,3週間で証印受領する』とすれば、まだ旅券を受領できていない場合も多々あります。
この点につき、証印受領の段階で旅券が未取得である旨の理由書を提出することになります。本事案では、行政書士名義の理由書で足りました。
予定どおり、定住者の証印ある在留資格証明書の発行を受けてきました。

2011.07.23

最近の入管事情

本稿は、東京入国管理局(本局)に関する諸問題ですが、散文もしくは日記程度の記述だとお考えください。

1 アイエーカンパニーのこと
東京入管当局は、今春から、Bカウンター(総合受付)とCカウンター(認定受付)の入管受付業務を民間会社であるアイエーカンパニーに委託しました。配置されている職員は民間人ですから、当事者に対する対応もソフトになった感じもあります(制度発足当時のこと。現時点では若干疑問を生じました。立場を弁えていない受付職員もいるようです)。外国籍もしくは外国語をネイティブとする人も多数配置されています。申請人とネイティブな言語で応対するというメリットもあります。
しかし、業務に不慣れであることも否めません。
申請書や添付書類を下見して、受付カード(番号札)を渡す作業、つまり、受付の事前チェックから同社が取り扱っていますが、処理が遅く、いつも長蛇の列ができるようになりました。
また、Bカウンター、Cカウンターとも同社の処理に時間が掛かり、嫌味はあるが処理能力に長けた入管職員とは雲泥の差を感じます。同時にミスが多く、事件番号を打ち間違ったり、震災特措法を理解していなかったり、還付すべき書類を返し損なったりします。若干込み入った申請ですと、能力の限度を超えていると感じることがあります(申請の難易度ではなく、関係する申請人と申請内容=家族3名が更新と再入国と永住を同時に出し、共通資料とそうでない資料を判別するなどの能力)。また、日本語を理解できていない(書類を判別する日本語力が欠如した)職員が処理しているとの指摘もあります。A国人の申請人とA国人のアイエー職員が受付の事前チェックの段階で十数分の問答を繰り返している場面もあり、インフォメーションか受付相談と勘違いしているのではないかと思うこともあります。
このような具合で、私の経験的感覚としては、およそ2回に1回は、受付の段階でアイエーカンパニーが何らかのミスをすると考えるべきでしょう。
とにかく、市場調査とやらで、2年間はアイエーカンパニーが受付業務を処理することになっているようです。
申請をなさる皆様。
アイエーカンパニーのミスには細心の注意をもって対処してください。還付書類は?パスポートは?事件番号は?(※1) 
よくよく確かめてください。疑問があったら、アイエーカンパニーの後ろには入国審査官が控えていますから、そちらに確認する方法もあるでしょう。
(※1)事件番号の数字自体は確認の仕様がありませんが、部門(永住審査部門なら「永」、就労審査部門なら「労」など)や申請種別(更新なら「E」、変更なら「C」、永住なら「P」など)が間違っていないかどうかの確認をしてください。

2 在留資格認定証明書の交付率と短期滞在からの変更申請
東京入国管理局管内においては、本局へ申請しても出張所へ申請しても、決裁するのは本局です。そして、東京入国管理局永住審査部門は、「日本人の配偶者等」などの在留資格に関する在留資格認定証明書を発行する権限を委ねられています。
既にこれに類する情報をお持ちの方も多いかと思いますが、2008年前半には中国人配偶者(※2)に対する在留資格認定証明書の交付率が85%程度であったのに対し、その1年後には60%台に低下し、それがどんどん低下して2010年12月には20%を割り込む数字になっています。現在でも20%台で推移している模様です。どうしてそうなってしまったか、それなりの理由は聞こえてきていますが、他の入管局ではそのような数字ではありません。
東京入国管理局永住審査部門の在留資格認定証明書の交付状況が異常であると言わざるを得ないのは事実です。
(※2)中国人は1例に過ぎません。他の国籍でもほぼ同様の交付率傾向となっています。
どうやら、
「認定を申請しても滅多に交付されない」
そういう感触を掴んだ実務家や当事者らが、「短期滞在の在留資格(査証免除を含む)で来日し、本来、希望する在留資格へ変更申請する」という手段を用いようとするであろうことは大いに予想されるところです。
おそらく実数的にも、短期滞在からの変更申請が増えているのでしょう。
入管法20条3項但書にこうあります。「短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。」
この条文は、身分系在留資格(日本人の配偶者など)においては、今まで実務上、この法文ほど厳格な運用はなされてきませんでした。せいぜい、在留資格に相当する活動をするという信憑性や合理的な理由、相当な理由が必要、という程度であったと言えます。
いずれにしましても、
「永住審査部門は僅かしか在留資格認定証明書を交付しない。当事者側は対抗措置として短期滞在からの変更申請を出す。」
これが定着しては、もともと異常な入管の認定交付率に問題があるにせよ、例外的な手法である短期滞在からの変更が、在留資格認定での来日より増えてしまい、いわば本末転倒の事態に陥ることになります。
入管当局は、このような本末転倒な状態を払拭するためか、あるいは、現在の異常な認定交付率に対する大々的な批判に対抗して自己の正当性を主張するためか、短期滞在からの変更に歯止めを掛ける方策を講じるようになりました。
具体的には、東京入管(本局)において、2011年7月中旬以降、短期滞在から他の資格への変更申請をする場合には、事前に該当部門の承認を受けるというシステムが導入されることになりました(該当各部門の事前の承認というのですから、永住審査部門に限らないことになります。なお、既に在留資格認定証明書の交付を受けていてそれを添付した変更申請の場合は、事前承認は不要の模様です)。
つまり、短期滞在からの変更を申請する場合、入管へ行ったら、まず、永住審査部門などの該当部門へ行き、下記のような用紙の交付を受けます。大きさは、だいたいA5版です(下記画像をクリックすると、カラーのPDFファイルが開きます)。 

永住審査部門で事前承認を受けると、この用紙の右下にある「確認欄」の丸印が押されますから、これを添付して、Bカウンター(総合受付)で申請することになります。
永住審査部門で事前承認を受ける際に聞かれるのは、主に、この案件で在留資格認定証明書交付申請を行ったことがあるかどうかです。
認定申請したが不交付になった事案であれば受付をしないということなのかどうか、詳細はまだ不明です。
様々な処理が想定されますが、受付をしてもらえたにしても、法文にある「やむを得ない特別の事情」に重きを置く審査になるのではないかという気がしています。

2011.06.01

短期滞在の更新(レアケース)

1 短期滞在の更新  -原則-
 在留資格「短期滞在」は在留期間15日、30日、90日の3種類の期間が決められています。他の在留資格と同様に更新許可申請を行うことも可能ですが、法務省の下記サイトにあるとおり、
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/ZAIRYU_KOSHIN/zairyu_koshin10_17.html
 —上記サイトから引用—
外国人の方が,疾病等の理由により,短期滞在の期限を延長する場合
※ 「短期滞在」の更新申請については,原則として,人道上の真にやむをえない事情又はこれに相当する特別な事情がある場合に許可が認められるものです。
 —引用終了—
 来日した外国人自身の病気か、そうでなければ、滞在先(来日した外国人の実子宅など)に幼児(未就学児)があり、その監護の必要がある場合などに限定されているのが一般的です。
 なお、在留期間更新許可申請書は、下記サイトに掲載されています。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-3-1.html

2 人道的事由によらない短期滞在の更新
 上記のように病気や幼児監護など人道的事由によらないで、短期滞在の更新が許可されうるのか、今まで実例を聞いたことがありませんでした。
 今回、当職が処理したのは次のような事案でした。
(1) 2011年4月、都内にある輸入商社から、以下のような相談がありました。
 風力発電所の部品を修理するために、同部品を製造した中国のメーカーの技術者7名が短期滞在30日の在留資格で来日することになった。
 来日前の予定では2基の部品を修理するはずであったが、来日して検品してみると、それ以外に6基、合計8基の修理を要することが判明した。
 30日間ではとても8基全部の修理を完了することはできない。
 こういった理由によって、短期滞在の期間更新を依頼したい。
(2) 最初に考えたのは、短期滞在の資格によって「修理」という外見的に労働に類する活動を行うことが許されるのかどうかです。この点に関しては、給与・報酬が日本側から支出されないことが条件になります。後に、入管当局にも確認したところですが、中国人技術者(以下、「申請人」と書きます)は、中国企業の社員であり、同社から給与が支払われるということであれば問題ありません。名目を問わず、実質的に報酬と判断される金銭が、日本企業から中国企業へ、中国企業から申請人らに支給されるのであれば、不法就労ということになろうと思います。
 また、この修理を行うことになったのは、中国企業が製造した部品の初期不良に原因があり、かつ、製品の保障期間内であることにも留意しました。自然災害や使用法の過誤による破損・故障であれば、買い取った日本側で修理費を負担すべきものと思われるからです。
 本件は、初期不良による「クレーム処理」としての修理だったのです。
(3) 短期滞在の在留期間は、90日、30日、15日と3つの期間が規定されています。
 更新期間については、上陸時点で許可された滞在期間(現在では領事館の定めた期間と同じ)が90日の場合、仮に更新が許可されるとすれば、90日、30日、15日の更新いずれか1回を認めるのが通例です。
 上陸時点で30日の場合、仮に更新が許可されるとすれば、30日、15日の更新いずれか1回を認めるのが通例です。
 上陸時点で15日の場合、仮に更新が許可されるとすれば、15日の更新を1回認められるのみです。
(4) これに対する依頼人の希望は、以下のようなことでした。
 a. 上陸許可30日に対して、合計90日の滞在を認めるよう申請してほしいとの申し出でした。 →しかし、これですと、30日の更新を2回行うことになり、これも大変例外的な希望であると思われました。
 b. 申請人らは急ピッチで修理作業を進めているので、自ら入管に出頭することなく取次申請によって申請して欲しい。 →短期滞在の更新においては、本人同行することが多いのですが、この点に関しては、下記(5)のとおり、入管当局の了解を得られました。
 c. 申請人らが入管への出頭を求められた場合に備えて、出張所への申請を希望するとのことでした。 →しかし、この点に関しては、こういった超レアな事案は本局申請に限ると考えました。また、依頼者の指定する出張所には管轄権がないと判断されました。
(5) 本件は、通常申請されるような人道的事由によらない更新許可申請です。
 また、希望する更新期間が、上陸時点で付与された期間より長い、例外的な長期間です。
 人道的事由による更新の場合、入管当局が申請人自身の状況を聴取することが多いため、本人同行することが通例なのに対し(帰国の誓約書に本人の署名を求められることもあります)、申請人らが出頭しないで取次申請するというのもあまり多くない例だと言えます。
 この事案について、4月下旬の来日から1週間を経過した時点で、以下の主張をもって、東京入管本局へ事前打合せに赴きました(事前打合せがこの時期になったのは、(1)のとおり、修理・検品を開始したところ、全部で8基の修理の必要性が判明したためです)。
申請人側の主張として、
① 原発事故による電力不足の補充という国益に沿う活動であること。
② 間もなく到来する夏季には大幅な電力不足が予想され、それを補充する意味を持つ緊急性があること。
③ 大震災と放射能汚染のために中国当局が日本渡航自粛の指示を出し、来日日程が1ヶ月も遅れてしまったこと。入管法の原則どおり、いったん帰国して再来日していたのでは、上記のように夏季の電力不足対策に間に合わなくなること。
 この事前打合せには大きな意味がありました。
 入管当局は、当初、「来日時の30日に加えて更新30日を認めた後は、いったん帰国する以外にない。」と原則論を述べていましたが、上記①ないし③の主張をしたところ、上席の審査官から「上陸許可時点で30日の短期滞在に加え、90日の更新を最大限検討する」と約束してもらうことができました(氏名を名乗った上、申請時には直接自分を呼び出すよう指示してくれました)。
 また、行政書士による取次申請に関しても、問題ないとの言質を得ることが出来ました(ある意味では当然ですが、人道的事由による場合は本人聴取も重要であることは否めません)。
(6) 提出資料等に関してですが、まずは、領事館へ提出した招聘理由書などを送付してもらい、依頼内容と合致しているかどうかの確認作業を行いました。
 更新許可申請書関係は、一般的な内容以外に、上記①ないし③の事情を理由書に記載するほか、風力発電所の故障に関する具体的な状況説明、日中双方の発電機に関するパンフレット、作業現場や申請人らの作業状況の写真、現場地図なども添付しました。
 また、この風力発電機は、F重工業が組立て、H製作所に納品しています。よって、F重工業もしくはH製作所といった著名な上場企業から理由書などを交付してもらい、入管の信用度を高めるのも1つの方策でした。
 そして、行政書士業務としては、何といっても、行政書士自身が作業現場を現実に見に行くこと。申請人らと面談し、申請書と偽りのない人物が、偽りのない場所で、偽りのない活動をしていることを確認すること。
 これが要点であると言えます。
(7) 5月中旬に、短期滞在90日の更新を求める申請書を東京入管(本局)短期滞在部門に提出し、即決で、90日の更新を認められました。
 これにより、合計の滞在期間は120日となりました。
 これ以前の例ですと、短期滞在の更新が許可された場合、許可証印の下に「今回限り」もしくは「FINAL EXTENSION」とスタンプされていましたが、本件ではそのスタンプが見当たりません(理由は不明です)。
 
 当職としては、このような滅多にない事案を担当させていただき、関係各位に深く感謝しております。
 風力発電機が快調に電力を作り続けることを祈っております。

(2011.6.7追記)本件許可と直接の関連性があるかどうかはともかく、
 午後10時から放送されたテレビ朝日系列の報道ステーション(メインキャスター古舘伊知郎氏)の中で、本件の風力発電所が報道されていました。
 洋上風力・地熱発電の可能性として、「茨城県神栖市の海岸に国内初となる本格的な洋上風力発電所があり、現在、7基の風車が稼働している」として、『ウインド・パワー・いばらき』の模様が映し出されていました。
http://www.tv-asahi.co.jp/dap/bangumi/hst/news/detail.php?news_id=20750 (報道ステーションのサイト)
http://www.komatsuzaki.co.jp/windpower/kamisu.html (風力発電所のサイト)
 この業務が、国益の一助となる感慨を持ちました。

2011.03.25

最近の在留特別許可(4)

最近の在留特別許可案件に関して、変わった事情のある案件をいくつか掲記してみます。
◇ 配偶者に殺人未遂の前科 ◇
(序) 政権が交代したせいかどうか判然とはしませんが、およそ2009年後半以降の自己出頭案件について、ほとんど1年余の期間、手続が止まったかのようでした。そんな中の1件です。
(1) 本人の履歴など 
 20歳代のタイ国籍の女性です。自己名義のパスポートを使用し、2007年1月に短期滞在で上陸、そのまま不法残留しました。1回目の違反です。
 2008年1月に日本人男性と婚姻、同年7月に離婚していますが、この婚姻によって入管へ出頭することはしなかったそうです。
(2) 当職への依頼と出頭の遅延 
 08年10月、別の日本人男性である現夫と知り合い、交際同居し、09年6月に日本式婚姻が成立しました。
 両親同居、持ち家のうえ、現夫との間の子を妊娠したがそれが子宮外妊娠で卵管破裂、片方の卵巣を失うという悲劇もありました。
 再婚という点以外は、条件的に良かったと思われますが、現夫が仕事を忙しがり、大使館(婚姻要件具備証明書の取得)や入管へ出頭する時期が遅れ遅れだったことが気になる案件でした。
 およそこの当時以前は、不法滞在者であっても日本人の配偶者として外国人登録をしてあれば、入管が摘発に来ることはないと思われていた時期でもありました。出頭が遅れるのは良くありません。しかし、当職としては当事者の意向を無視できる立場にはありません。
 そうしたところ、09年8月下旬に入管の摘発担当(調査第1部門)が地元警察官を連れて、自宅に摘発に押しかけてきました。たまたまそのとき、本人が不在だったそうで、摘発を免れました。電話連絡は取れていたそうですが、「逃げ切ってしまった」そうです。
 仕事を理由に出頭を引き延ばしていた日本人配偶者でしたが、さすがに自ら出頭しないと問題が大きくなると感じたのでしょう。入管が摘発に来た翌日には、自己出頭することになりました。
(3) 自己出頭とその後の進行
① 自己出頭は、09年8月下旬でした。このころからの傾向で、出頭日におけるインタビューは軽めでした。
② その後、外国人本人が2度目の妊娠をしました。無保険の状態で出産を控え、多額の費用が掛かります。本人、家族から、何度かに亘って入管に進行状況の問い合わせを行いましたが、時間が掛かるとのみの回答だったようです。(2010年に入り、実務家たちも、08年や09年前半までとは、同種事案の取扱いに大きな違いが生じたことに気づかされたと言えます。)
 2010年9月、夫婦間の長男が出生しました。
③ 同年11月、入管が、予告なく自宅調査を行いました。夫の両親と外国人本人が在宅しており、写真撮影などが行われました。この手続は、厳しい審査ながらも許可見込みのある案件で行われる調査であると認識しています。
最近、電話調査は頻繁にあっても自宅調査がある案件は多くないと言えます。
④ 2011年1月下旬、午前9時半の呼出しがありました。長男の出生届記載事項証明書を提出するよう指示されました。
なお、後刻になってから聞いたのですが、夫婦揃って出頭するよう求められていたそうです。内容は、夫婦揃ってのロングインタビューでした。午後5時過ぎまで掛かる日程でした。この手続も、厳しい審査をすべき事案であると担当官(入国警備官)が考えたものと思います。実子もあるのになぜだろうか?と思いましたが、この点は、後に感想を記します。
⑤ 同年2月上旬、入管から電話があり、日本人夫の前科を問われました。夫は入管に対して、『殺人未遂で2年間服役していた』と正直に述べたそうです。この前科は、刑法34条の2の規定により、まだ抹消されていません。配偶者の前歴は大きな要素になることもありますので、私からも業務開始時点で聞いたことがあります。そのときの返答は、「免許証もゴールドだし前科なし」とのことでした。この時点に至り、重大なウソを言われていたことに気づかされることになりました。当方としては、当事者による重大な契約違反と認識せざるを得ず、果たしてどの程度の影響があるのか、先読みの難しい状況になりました。
⑥ 入管から「2月××日午前10時」に外国人本人のみ出頭するよう電話がありました。当事者は、何度も入管に日付を確認したと言いますが、カレンダーを見ると同日は土曜日です。出頭日時を再度確認してもらい、○○日(火曜日)の間違いであることが判明しました。入管の事務がかなり杜撰な証拠です。当事者側も入管の連絡が正確かどうか、細心の注意を払わなければなりません。再確認した○○日(火曜日)に仮放免許可となりました。仮放免許可申請はしていませんし、保証金もありません。仮放免による最初の「出頭確認日」は、従前、2ヶ月後を指定されるのが通例でしたが、本件に関しては、5週間少々後の日付指定でした。
(5) 在留特別許可
 入管から電話があり、上記の第1回目の出頭確認日より前の3月中旬某日午前9時半に出頭するよう求められました。ところが、今般の大震災のために、交通の便が非常に悪い状況になりました。呼出日の前日、入管から電話があり、「どうしますか?来られますか」と聞かれました。結局、当事者本人が無理と判断し、延期を求めたそうです。その後、呼出日の1週間後の某日午前9時半に審判部門への出頭を求められました。当日の持参書類として、戸籍謄本、住民票、登録原票記載事項証明書、仮放免許可書、外国人登録証明書、パスポートを指示されました。
 同日、午前中に違反判定、口頭審理、異議申立ての手続があり、午後2時から「在留特別許可」の裁決がありました。
(6) 若干の感想
上記のように
1点目 もう少し俊敏に大使館や入管へ出向く時間を取ってくれれば、2ヶ月は早く出頭できたものと考えられ、09年前半のように数ヶ月単位での最終決裁も可能だったのではなかったかと思われる点が残念でした。
2点目 日本人配偶者の前科が大きな影響を持つことも想定されるのですが、結果から見ると、両親同居、持ち家、実子の存在とプラス面が多く、前科のマイナス面を払拭したかのようでした。
3点目 入管が摘発に来たとき、逃げてしまったこと。これは、警備部門(摘発に当たった調査第一部門だけではなく、在宅調査を行った調査第三部門を含む入国警備官)の印象をだいぶ悪くしたものと思います。
前にも経験があるのですが、警備部門は、自分たちの努力を当事者が水の泡にするのを大変嫌います。「捕まえに行ったのに逃げた。自分たちの尽力を無駄にした。」というわけです。この部署は、こういった感情的で恨みじみた反応をすることがしばしばあるので、要注意です。
 そして、仮放免が許可され、事案が警備部門(入国警備官)から違反審査・審判部門(入国審査官)に引き継がれると、第1回目の出頭確認日より前に、在留特別許可を降ろす事実上の決定があったことが伺われます。総合的に見て入国審査官の心証は良かったということだろうと想像しています。

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